考想息止経

考想息止経について

『考想息止経』（こうそうそくしきょう）、またの名を「Vitakkasaṇṭhāna-sutta」（ヴィタッカサンターナ・スッタ）は、パーリ仏典の経蔵中部に収められている重要な経典の一つです。この経典は、善なる考えをどう培うか、そして不善な考えをどのように払い除けるかについて教示を提供しています。本経典は、仏教の教義を学ぶ上で非常に価値のある文献であり、現代の仏教実践にも多くの示唆を与えています。

構成と内容

『考想息止経』は329の句から成り立っており、その中で釈迦により比丘たちに対してさまざまな教えが展開されています。主に、心の働きや考えの流れ、またそれをコントロールする方法について教えています。善い考えを意識的に持つことが、不善な思考を遠ざける手立てであることを示しており、瞑想や内観の実践を通じて心を穏やかに保つ重要性についても触れています。

善なる考えを育てる

経文の中では、善い考えを意識的に育てる方法として、自己の内面を反省することが推奨されています。例えば、日常生活において生じる様々な思考や感情に対して気づきを持ち、それが善いものであるか、不善なものであるかを見極める作業が求められます。この反省は、自己を見つめ直すだけでなく、自身の行動や言葉にも良い影響を与えていくことにつながります。

不善な考えの排除

また、不善な考えを排除する方法として、釈迦は具体的な実践法を示しています。煩わしい思考が生じた時、自分自身に「この考えは本当に必要なのか？」「この思考は私の成長にどのように寄与するのか？」と問いかけることで、無駄な思考を手放す力を持つことができます。この方法は、現代のストレスの多い社会においても有用であり、心の平穏を保つ手助けとなるでしょう。

日本語訳と参考文献

実際に本経典を学ぶための資料は多く存在しますが、その中でも特に信頼性の高い翻訳として以下の書籍が挙げられます。

• - 南伝大蔵経・経蔵・中部経典1（第9巻） 大蔵出版
• - パーリ仏典 中部（マッジマニカーヤ）根本五十経篇I 片山一良訳 大蔵出版
• - 原始仏典 中部経典1（第4巻） 中村元監修 春秋社

これらを通じて、蹉跌のない思考と心の役立つ教えを深く学ぶことができるでしょう。

関連項目

『考想息止経』の類似する漢訳経典としては、『中阿含経』（大正蔵26）の第101経「増上心経」があります。これらの文献も、比丘への教えを通じて仏教の思考法を通達する重要な役割を果たしています。

外部リンク

更なる情報や他の翻訳については、以下のリンクも参考にしてください。

• - Vitakkasaṇṭhānasuttaṃ - Tipitaka.org
• - Vitakkasanthana Sutta: The Removal of Distracting Thoughts - translated by Soma Thera
• - Vitakkasanthana Sutta: The Relaxation of Thoughts - translated by Thanissaro Bhikkhu

このように、様々な観点から『考想息止経』は私たちに深い教えを提供してくれています。

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