耳下腺

耳下腺についての詳しい解説

耳下腺（じかせん、Parotid gland）は、体内の大唾液腺の中で最大のものです。この腺は独特な三角形の形状を持ち、外耳道の前下方に位置し、下顎の下顎角にまで達しています。耳下腺はただの唾液の分泌に留まらず、顔面の多くの重要な機能に影響を与えています。

構造と位置関係

耳下腺は、後に胸鎖乳突筋や茎状突起から出るいくつもの筋肉に接しています。そして一部は深く下顎後窩に入り、顎関節と関連しています。耳下腺の上の端は、下顎枝や咬筋の外面、つまり頬骨弓の下側に位置します。大きさとしては、前後の直径が約3〜3.5cm、上下の直径が4〜5cm、厚さが2〜2.5cmと言われています。

耳下腺の主要な導管である耳下腺管は、長さ約5〜6cmで、耳下腺の前上部から出て、頬骨弓の下の位置まで平行に走ります。その後、前縁で内側に曲がり、頬筋や頬の粘膜を貫通して、上顎の第2大臼歯の高さで、耳下腺乳頭として口腔前庭に開口します。また、耳下腺管の上には副耳下腺が存在することがあり、この導管は耳下腺管と結びついています。

組織学と機能

顕微鏡的に見ると、耳下腺は純漿液性の腺であり、複合包状腺に分類されることが分かります。小葉間結合組織によって多数の小葉に分かれ、大きい導管以外は小葉内に含まれています。特に耳下腺の内部には脂肪組織が多く見られることが特徴的です。分泌部は漿液細胞で構成されており、核は丸く、細胞質には顆粒が豊富に含まれているため、暗く見えるのが一般的です。

分泌物が蓄積すると、細胞は大きくなり、細胞自体も明るく見えるようになります。耳下腺には細胞間分泌細管や、筋上皮細胞として知られる扁平な籠細胞が存在し、腺細胞の外側部分はやや塩基好性に染まる特性を持っています。この塩基好性は、粗面小胞体の集積によるもので、つまり蛋白質合成が盛んなことを示唆しています。

耳下腺の終末部分は、細長い介在導管を通じて線条導管に繋がります。そして複数の線条導管が集まり、最終的に太い耳下腺管を形成します。導管の壁の構造は、導管が大きくなるにつれ変化し、内腔も次第に広がります。

神経支配と唾液分泌

耳下腺には、顔面神経やその枝、外頚動脈やその枝が通りますが、顔面神経は耳下腺を直接支配していません。唾液分泌は、舌咽神経の枝により調整されています。これは、唾液の生成と口腔内の環境を保つために非常に重要な役割を果たしています。

まとめ

耳下腺は、唾液の分泌を司る重要な腺であり、解剖学的にも多くの構造と関わっています。その機能は、消化や口腔の健康に大きく寄与しており、耳下腺に関連する疾患や機能障害は、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。

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