耶律淳

耶律淳（やりつ じゅん）

耶律淳は、北遼の初代皇帝であり、契丹名は涅里（ネリ）といいました。彼は興宗の次男である宋魏王和魯斡の子として生まれ、文学に優れた才能を持っていました。

生涯

道宗皇帝に可愛がられ、燕王に封じられました。道宗の皇太子であった耶律斡は、宗室の耶律乙辛の讒言によって非業の死を遂げました。道宗は甥である涅里を皇太甥にしようと考えましたが、臣下の諫めにより、孫の阿果（後の天祚帝）を皇太孫としました。

天祚帝が即位すると、耶律淳は鄭王・彰聖軍節使に任ぜられ、後に越王・南府宰相となりました。父の死後、南京留守の職を世襲しました。

1115年、天祚帝が金の太祖に大敗し長春へ逃れると、宗室の耶律章奴らは、かつて道宗の皇太甥であった涅里を擁立しようとしました。しかし、耶律淳は耶律章奴の使者を斬首し、自ら長春へ赴いて天祚帝に謁見したため、天祚帝から感謝され秦晋王に封じられ、都元帥に任じられました。その後、首謀者の耶律章奴らは処刑されました。

耶律淳は金に対抗するため、燕雲十六州で数千人を率いて迎え撃ちましたが、大敗し南京（燕京、現在の北京）へ逃れました。1122年2月、天祚帝が再び金の太祖に大敗し、雲中（現在の山西省大同市）の陰山へ逃亡してしまいます。そこで、宗族の耶律大石と宰相の李処温らは、3月に乗り気ではない耶律淳を擁立し、李処温の子である李奭が皇帝の衣装である黄袍を用意していたため、成り行きで即位することになりました。また耶律大石らは、天祚帝を勝手に「湘陰王」に格下げしてしまいました。耶律淳の国は、後世で北遼と呼ばれるようになります。しかし、同年6月24日に崩御しました。享年61歳でした。

彼の死後、一時的に耶律淳の従弟である耶律朮烈（秦越王耶律阿璉の子）が後を継ぎました。

宗室

后妃

徳妃 蕭普賢女

子女

不詳

脚注

伝記資料

* 『遼史』巻三十

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