北遼

北遼（1122年 - 1123年）

北遼は、12世紀初頭に中国史料に登場する、遼の亡命政権に対する呼称です。その首都は南京（燕京、現在の北京）に置かれました。

北遼成立の背景

1122年、遼の天祚帝は入来山で金の太祖に大敗を喫し、長春へと逃れました。この事態を受け、遼の皇族である耶律大石は、留守を任されていた大臣の李処温とともに、同年3月17日に天祚帝の従父にあたる耶律淳を天錫帝として擁立しました。さらに、天祚帝を「湘陰王」に格下げするという決定を下し、自立の動きを見せました。こうして成立したのが、国号を「北遼」とする政権です。北遼は、金との対抗を掲げました。

短命に終わった北遼

しかし、北遼の命運は長くは続きませんでした。同年6月24日、天錫帝が61歳で病死すると、天祚帝の太子であり五男の秦王である耶律定が後を継ぎました。天錫帝の未亡人である徳妃蕭普賢女が摂政として国政を担いましたが、1123年正月、燕京が金の攻撃にさらされると、北遼は支えきれずに崩壊に向かいます。耶律定と蕭普賢女は、耶律大石らに支えられ、長春から西方の雲中（現在の山西省大同市）の陰山に避難し、天祚帝のもとに身を寄せました。

天祚帝は、自身の許可なく皇帝を擁立したことに対する怒りから、叔母にあたる蕭普賢女を処刑し、耶律淳を庶民として属籍から除名しました。しかし、同年5月8日、南京（燕京）にいた遼の大臣たちは再び「北遼」を建国し、天祚帝の次男である梁王耶律雅里（耶律定の同母兄）を皇帝として擁立し、遼からの自立を試みました。しかし、同年10月には耶律雅里が病没してしまいます。

その後、蕭徳烈らは天錫帝の従弟である耶律朮烈を擁立しましたが、11月には金軍に包囲され、耶律朮烈は内紛によって家臣たちに殺害されました。これにより、北遼は完全に滅亡することとなりました。

北遼の歴代君主

宣宗天錫帝 耶律淳
秦王 耶律定（摂政：徳妃 蕭普賢女）
梁王 耶律雅里
耶律朮烈

北遼の年号

建福（1122年3月 - 6月）
徳興（1122年6月 - 1123年2月）
神暦（1123年5月 - 11月）

参考文献

『遼史』
『宋史紀事本末』
『契丹国志』
『資治通鑑』
『続資治通鑑長編』
『東都事略』
『三朝北盟会編』
* 『皇朝実録』

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