李処温

李処温（り しょおん）

李処温（生年不詳 - 1122年）は、遼（契丹）の宰相であり政治家です。別名は耶律処温、李純。南京析津府（現在の北京）の出身。

生涯

李処温は、遼の南院枢密使であった李仲禧の孫にあたり、知枢密院事の李儼の甥にあたります。彼の子には、少府少監・提挙翰林医官を務めた李奭（耶律奭）がいました。

若き頃、李処温は叔父である李儼の推挙により門下侍中となりました。その後、叔父の死後には、北院枢密使の蕭奉先の推挙を受け、宰相にまで上り詰めました。

1122年2月、金の阿骨打率いる金軍が遼の中京を陥落させると、時の皇帝であった天祚帝は、大同府にある雲中の陰山へと逃亡しました。

同年3月、李処温は皇族の耶律大石、回離保、張琳らと共に、秦晋王耶律淳（天錫帝）を「北遼」の皇帝として擁立し、自身は太尉に任命されました。

さらに同年6月、天錫帝が61歳で病没すると、その未亡人である徳妃蕭普賢女を摂政とする条件で、天祚帝の皇太子であった秦王耶律定（五男）を即位させました。

しかし、李処温は政策面で耶律大石らと対立するようになります。そのため、彼は耶律定と蕭普賢女の身柄を確保し、北宋軍総帥の宦官である童貫と内通して、謀反を企てました。さらに金とも密かに通じていました。しかし、その企みが回離保らに露見し、子の李奭と共に処刑されることとなりました。

李処温の死後、回離保らが彼の財産を調査したところ、銭7万緡、金器、玉器など、豪華な物品が大量に蓄えられていたことが判明しました。

李処温は、遼の混乱期において、権力を手中に収めようと奔走しましたが、最終的には裏切りと策略が露見し、悲劇的な最期を遂げた人物として、歴史に名を残しています。

関連項目

『遼史』巻102 列伝第32
『皇朝実録』巻70

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