耿如杞

耿如杞（こう じょき、生年不詳 - 1631年）は、明代末期の官僚であり、軍人としても活躍しました。字は楚材、号は朴公と称しました。彼の出身は東昌府館陶県です。

官僚としての道

1616年（万暦44年）、耿如杞は進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。最初に戸部主事に任命され、その後、天啓帝の時代初めには職方郎中に昇進しました。さらに、陝西参議として地方に赴任し、遵化兵備副使に転じました。この時期、明朝は宦官、特に魏忠賢を中心とする閹党が権力を握り、政治が腐敗していました。

権力への抵抗

各地で魏忠賢に媚びへつらう動きが横行する中、巡撫の劉詔が喜峰行署に魏忠賢の画像を掲げ、文武百官に五拝三稽首を強要しました。しかし、耿如杞はこれに抵抗し、画像の前で軽く拱手しただけで立ち去りました。この行動は、彼の剛直な性格と権力に屈しない姿勢を示しています。

冤罪と処刑

1627年（天啓7年）、耿如杞は魏忠賢によって弾劾され、投獄されました。彼は不正な金品6300を隠匿したという濡れ衣を着せられ、死刑を宣告されました。しかし、その年の秋、崇禎帝が即位し、魏忠賢一派が処刑されたことで、耿如杞の運命は一変します。崇禎帝は耿如杞を太僕寺卿に任命し、その才能を高く評価しました。

地方官としての活躍

耿如杞は退任と帰郷を願い出ましたが、崇禎帝はそれを許さず、1628年（崇禎元年）には右副都御史に抜擢し、山西巡撫を任せました。当時、チャハルのリンダン・ハーンが順義王アルタンの故地に拠り、明の北辺を脅かしていました。耿如杞は国境防衛の策を上奏し、要塞の修繕や地形の整備を提言しました。これは、彼の軍事的な見識を示すものです。

無念の最期

1629年（崇禎2年）11月、清軍が大安口から侵入し、北京に戒厳令が発令されると、耿如杞は総兵官の張鴻功とともに5000の兵を率いて援軍に向かいました。しかし、到着後、軍の駐屯地が頻繁に変更されたため、兵士たちは3日間食糧を得ることができず、大規模な略奪行為に発展しました。この事態に激怒した崇禎帝は、耿如杞と張鴻功を逮捕させました。朝廷の誰も彼らを救おうとはせず、1631年（崇禎4年）、耿如杞は西市で斬首されました。彼の最期は、明朝末期の混乱と政治腐敗を象徴する悲劇でした。

名誉回復

耿如杞の死後、南[[明]]の福王政権下で、彼は右僉都御史の位を追贈され、その忠義が認められました。

子孫

耿如杞には耿章光という息子がおり、彼も進士に及第し、尚宝司卿を務めました。

参考資料

* 『明史』巻248 列伝第136

耿如杞の生涯は、明末の混乱期における一人の官僚の苦悩と抵抗の物語です。彼の忠義と剛直な精神は、後世に語り継がれるべき教訓と言えるでしょう。

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