聖 -天才・羽生が恐れた男-

『聖 -天才・羽生が恐れた男-』

概要

『聖 -天才・羽生が恐れた男-』は、日本の漫画であり、作画を山本おさむ、監修を森信雄が担当しています。この作品は実際の人物を基にしたフィクションであり、『ビッグコミック』（小学館）にて連載されました。本作は、いわゆる「羽生世代」として名を馳せた若き将棋棋士、村山聖の波乱万丈な生涯を描いています。

あらすじ

物語は、村山聖という将棋の天才の生き様を中心に展開されます。彼は幼少期からネフローゼを抱え、それが原因で膀胱癌と闘う事になりますが、将棋に対する情熱は尽きることがありません。29歳という若さでこの世を去りますが、彼が残した足跡は大きなものでした。

第1巻

物語は村山の幼少期から始まります。彼は入院治療を受けていた広島中央病院で友人と将棋を楽しむうちに、棋力を磨いていきます。友人との交流、さらにその友人が亡くなる痛みを経験しながらも、小学4年生で出場した「中国こども将棋名人戦」で成績を残すまでの過程が描かれています。

第2巻

「中国こども将棋名人戦」で3位入賞を果たした村山は、小学5年生にして全国大会（小学生名人戦）の舞台に立ち、羽生善治や佐藤康光といった後のライバルたちと出会います。そして、奨励会試験を受けるべく反対する叔父を説得して受験し、見事合格します。

第3巻

奨励会に入会した村山は、病を抱えながらも順調に昇級します。そして、旧知の奨励会員との「鬼勝負」に挑むことになります。この勝負は、相手が村山に負けると退会を余儀なくされる厳しいものでした。

第4巻

「鬼勝負」を乗り越えた村山は、1986年に行われた第45期C級2組順位戦で羽生や師匠である森と対戦し、将棋への向き合い方が変わります。その結果、四段昇段を果たし、デビュー直後から快進撃を続ける姿が描かれています。

第5巻

若き棋士としての村山が、第46期C級2組順位戦でどのように奮闘していくかが語られます。

第6巻

プロ入り後初の黒星を経験することとなり、院内学級時代の友人との再会や羽生との初対局による試練を経ます。

第7巻

羽生との初対局に敗れた村山は、失意に陥り、思い悩みながら北海道の美瑛へと一人旅にでかけます。

第8巻

傷心の旅を経て、美瑛の人々との出会いから、自身の生きる目的を再確認した村山は将棋に向き合い直します。そして、短期間で羽生との再戦に勝利。しかし、周囲の環境が変わり、仲間たちもさまざまな挑戦に直面します。

第9巻

村山は、順位戦A級に初昇級を果たしますが、その後のB級1組への降級や膀胱癌の宣告に直面します。それでも、村山は執念でA級に復帰し、病との壮絶な闘いを続ける姿を描いています。

登場人物

本作には実在の棋士が数多く登場します。村山聖はその中心人物であり、彼の棋士としての成長と羽生善治とのライバル関係が強調されます。また、彼を支える師匠森信雄が重要な役割を果たし、その他の将棋界の著名な棋士たちとも交わる様子が描かれています。

書誌情報

『聖 -天才・羽生が恐れた男-』は小学館より発行され、全9巻が2000年5月から2002年9月にかけて刊行されました。また、2016年には新装版が登場しています。

この物語は単なる将棋の物語にとどまらず、友情、挑戦、病との闘いを通じて、人生の美しさや儚さを教えてくれます。

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