聖ゲオルギオス修道院 (ワジケルト)

聖ゲオルギオス修道院は、ヨルダン川西岸地区のエリコの西郊外に位置し、ワジケルト（涸れ川）の険しい断崖にへばりつくように建てられた、歴史ある正教会の修道院です。その起源は古く、480年頃に遡ります。修道院は、キプロス島出身の聖人、コジバの聖ゲオルギオスに捧げられており、「コジバの聖ゲオルギオス修道院」とも呼ばれています。

歴史

修道院の創建は5世紀ですが、この地はそれ以前から宗教的な意味を持つ場所でした。旧約聖書の列王記上17章には、預言者エリヤが神の命により、カラスによって養われながらワジケルトに身を隠したという記述があります。修道院内には、そのエリヤが実際に住んでいたとされる洞窟があり、今日でも巡礼者や観光客が訪れる神聖な場所となっています。

創建後、修道院は長きにわたり、この地域の духовный な中心地として機能しました。しかし、7世紀にはペルシャ軍の侵攻により破壊され、一時的に放棄されました。その後、12世紀に十字軍によって再建されましたが、15世紀には再び荒廃しました。

19世紀末、ギリシャ正教の修道士カリニコスによって修道院の再建が開始され、20世紀初頭に完成しました。現在の修道院は、カリニコスによって再建されたもので、往時の壮麗さを取り戻しています。

建築と内部

聖ゲオルギオス修道院は、その独特な立地条件から、非常に印象的な景観を呈しています。断崖に沿って建てられた建物は、周囲の荒涼とした自然と見事に調和しています。修道院へは、ワジケルトの底から急な階段を上ってアクセスします。その道のりは決して容易ではありませんが、到着した時の達成感と、眼下に広がる壮大な景色は、訪れる人々を魅了します。

内部には、美しいフレスコ画やイコンが数多く保存されており、正教会の美術様式を今に伝えています。特に、本堂の壁や天井を飾るフレスコ画は、聖書の物語や聖人たちの生涯を描いたもので、その鮮やかな色彩と繊細な描写は見る者を圧倒します。また、修道院内には、聖ゲオルギオスや預言者エリヤに捧げられた礼拝堂があり、静寂の中で祈りを捧げることができます。

訪問

聖ゲオルギオス修道院は、現在も修道士によって管理されており、巡礼者や観光客に開放されています。訪問の際には、露出の多い服装は避け、敬虔な気持ちで見学することが求められます。また、修道院内での写真撮影は、許可が必要な場合があります。

聖ゲオルギオス修道院は、その歴史的、宗教的、そして景観的な価値から、多くの人々を惹きつけています。ヨルダン川西岸地区を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。この場所ならではの духовный な雰囲気を体験し、忘れられない思い出となるでしょう。

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