聖ソフィア大聖堂 (ノヴゴロド)

ノヴゴロドの聖ソフィア大聖堂

ノヴゴロドの聖ソフィア大聖堂（ロシア語: Собо́р Свято́й Софи́и）は、ロシア正教会に所属する大聖堂であり、ノヴゴロド大主教区の主教座聖堂として重要な役割を果たしています。

歴史

11世紀、ヤロスラフ1世の子であるノヴゴロド公ウラジーミルによって、ノヴゴロド初の石造聖堂として1045年から1050年にかけて建設されました。その名は、キエフにある同名の大聖堂の壮麗さを再現したいという公の願いから名付けられました。

建築様式

キエフの聖ソフィア大聖堂を模して、5つの身廊と3つの後陣を持つ巨大な聖堂として建てられました。ただし、クーポル（丸屋根）の数はキエフの13個に対し、ノヴゴロドの聖ソフィア大聖堂では5つのクーポルがピラミッド状に配置され、階段塔の上にもクーポルが設けられています。クーポルの数が減ったことで堂内の採光が抑えられ、光と影のコントラストが強調される効果を生んでいます。また、クーポルの構成と垂直に分割された外壁が、建物に重厚感を与えています。

内装は、モザイクではなくフレスコ画が用いられ、大理石や装飾石版の使用も控えられており、キエフの大聖堂に比べて質素で簡潔な造りとなっています。この変化は、経済的な要因だけでなく、ノヴゴロド派独特の記念碑的建造物様式の萌芽と捉えられています。

ソビエト連邦時代とその後

ソビエト連邦時代には、無神論政策の下で反宗教博物館として利用されました。第二次世界大戦中には、ノヴゴロドのクレムリン内の他の建造物と同様に損傷を受けました。青師団の本部が置かれた際には、砲撃によりドーム上の十字架が落下し、スペインに持ち去られるという事件も発生しました。

ペレストロイカ後、宗教政策が緩和されると、1987年にはラフマニノフ作曲の聖金口イオアン聖体礼儀が聖堂内で初めて歌われました。1991年にはロシア正教会に返還され、2004年にはスペインから十字架が返還されました。2005年から2007年にかけては修復工事も行われています。

参考文献

* 浜野アーラ 著、浜野道博 訳『ロシア建築 三つの旅』11-14頁、東洋書店 ユーラシアブックレット、2004年。ISBN 4885955068

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