聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜

『聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜』

『聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜』は、1991年6月28日にスクウェア（現スクウェア・エニックス）から発売されたゲームボーイ用ソフトです。この作品は「聖剣伝説」シリーズの第1作であり、後に様々な展開を見せるシリーズの原点とも言える作品です。

概要

本作は、シリーズの第1作目でありながら、当初は『ファイナルファンタジー』シリーズの一作品としてリリースされました。これは、発売当初はFFシリーズとして展開する予定はなかったものの、ゲーム問屋からの発注本数や取扱店を増やすため、またFFシリーズのファン層からの関心を集めるために、途中からFFシリーズとしてリリースされたという経緯があります。そのため、チョコボや飛空艇といったFFシリーズでおなじみの要素や、「ケアル」「ファイア」などの魔法が登場します。

ゲームシステムは、見下ろし型の画面で展開し、画面から別の画面への移動を繰り返す方式です。パズル的な要素も含まれており、アクションRPGとしての面白さが追求されています。海外では、アメリカで『Final Fantasy Adventure』、ヨーロッパで『Mystic Quest』というタイトルで発売されました。特にアメリカ版のタイトルはFFシリーズを想起させますが、1992年に発売された『ミスティッククエスト』とは全くの別物です。

物語は、剣闘士奴隷である主人公が、過酷な運命に立ち向かう姿を描いています。序盤から登場人物の死が描かれるなど、ハードな展開が繰り広げられますが、ゲームを進めていくうちに、おちゃらけ要素も登場し、シリアスな物語の中にもユーモラスな一面が見られます。

開発には、伊藤賢治、石井浩一、北瀬佳範といった、後にスクウェアの大作シリーズを手がけるスタッフが参加しています。開発当初は「テニスゲーム」として企画されていたという逸話も残っています。

2003年にはゲームボーイアドバンスで大幅なリメイク作品『新約 聖剣伝説』が発売され、2006年には携帯電話アプリ版、2016年には3DでフルリメイクされたPlayStation Vita/iOS/Android版が発売されました。リメイク版のタイトルも欧米ではそれぞれ異なり、『新約』は『Sword of Mana』、3Dリメイク版は『Adventures of Mana』と変更されています。

2017年にはNintendo Switch用ソフト『聖剣伝説コレクション』にゲームボーイ版が収録され、オリジナルの雰囲気そのままに楽しむことができます。移植の際には、モノクロ4階調、スーパーゲームボーイモード、初代ゲームボーイの液晶画面の色味を再現したモードなど、複数の表示モードが搭載されました。

ゲーム内容

システム

武器による攻撃は、武器ごとに異なるモーションが設定されており、特定のオブジェクトを破壊することができます。剣のみ「斬り」と「突き」の2種類の攻撃方法があり、必殺技も同様です。武器にはそれぞれ必殺技が設定されており、画面下のゲージが満タンになった状態で攻撃すると、通常とは異なる強力な攻撃を繰り出すことができます。ゲージの溜まりやすさは精神の数値によって変化します。

魔法による攻撃も、攻撃魔法ごとに異なるエフェクトが設定されており、中には敵を追尾するものや、方向を指定できるものもあります。

防具を装備することで防御力を高めたり、特定の攻撃に対して耐性を持つことができます。盾を装備している場合、主人公が向いている方向からの攻撃を無効化することができますが、盾によっては無効化できないものもあります。

ゲームのプレイ感覚は、アクションRPG『ゼルダの伝説』に似ているという評価もあります。

成長タイプ

レベルアップ時には、「戦士」「モンク」「魔道士」「賢者」の4つのタイプから選択でき、選んだタイプによってパラメータの上がり方が変化します。

ストーリー

物語は、グランス公国で奴隷剣士として戦う日々を送っていた主人公が、脱走を試み、偶然シャドウナイトとジュリアスの密談を盗み聞いてしまうところから始まります。滝に落とされ気を失った主人公は、見知らぬ土地で記憶を失った少女と出会い、共にボガードという人物を探す旅に出ます。その過程で、主人公は自身の運命に翻弄されていきます。

登場人物

主要人物

ヒーロー（デフォルト名なし）
声 - 下野紘
グランス公国で奴隷剣士として戦わされている男性。脱走後、ヒロインと出会い、ジェマの騎士としての自覚に目覚めます。シャドウナイトを倒しますが、ジュリアスには敵わずヒロインを連れ去られてしまいます。その後、ボガードと再会し、聖剣エクスカリバーを手にしてジュリアスに立ち向かいます。最終的にジュリアスを倒すものの、マナの樹が消滅したため、ヒロインが新たなマナの樹となる道を選び、主人公はそれを見守るという結末を迎えます。
新約での設定：グランス公国大臣エルマンの息子で、シャドウナイトによって両親を殺されたという設定が追加されています。一部攻略本では「デューク」という名前が設定されています。
ヒロイン（デフォルト名なし）
声 - 石原夏織
記憶を失った不思議な少女。ボガードを探しており、主人公と行動を共にします。その正体はマナの血族で、マナの樹の「種」です。ジュリアスに狙われ、洗脳されてしまいますが、主人公によって救出されます。最終的にはマナの樹となることを選びます。一部攻略本では「エレナ」という名前が設定されています。
新約での設定：マナの一族の娘で、邪教徒として迫害されるという設定が追加されています。
シャドウナイト / ストラウド
声 - 興津和幸
グランス公国の王で、仮面をつけた黒い鎧の騎士。マナの力を求めており、ジュリアスと共にヒロインを追います。主人公によって倒されます。
新約での設定：元は優しい性格の王子だったが、あることが原因でマナを憎むようになり、マナに頼らない国を作ろうとするという設定に変更されています。
ジュリアス・バンドール
声 - 内山昂輝
グランス公国の魔道士で、シャドウナイトに助言しています。その正体は、かつてマナの力を我が物にした末に滅びた「バンドール帝国」最後の末裔です。マナの力を手に入れるためにヒロインを狙い、最終的に主人公によって倒されます。

主要人物の関係者

ボガード
滝の小屋に住む老人で、元ジェマの騎士。ヒーローに聖剣エクスカリバーの存在を教えます。
新約での設定：マナの一族の剣士でジェマの3騎士の一人という設定に変更されています。
ウィリー
ヒーローの親友で、奴隷剣士。物語序盤で死亡します。
新約での設定：生存しており、ヒロインと同じマナの一族で彼女の幼馴染という設定に変更されています。
ワッツ
冒険好きなドワーフ。ミスリルを探しており、アイテムを売ってくれます。
チョコボ
ヒーローを親と思い込むチョコボ。中盤でヒーローを助けますが、後にボンボヤジによって改造されます。
アマンダ
奴隷剣士の女性。姉御肌な性格で弟思い。迷宮内で魔物化し、主人公に介錯を頼みます。
レスター
アマンダの弟で、吟遊詩人。呪いでオウムの姿に変えられていました。
シーバ
ウェンデルに住む大賢者。ヒーローにジェマの素質を見い出します。
新約での設定：ジェマの3騎士の一人でヴァンドールの友人という設定に変更されています。
ボンボヤジ
イシュに住む発明家。チョコボを改造し、チョコボットにします。
マミーシーカー / マーシー
ボンボヤジによって造られた遺跡探索用ロボット。魔力(MP)を回復してくれます。

その他

デビアス
シャドウナイトの手下。レスターを人質に取り、アマンダからマナのペンダントを奪おうとします。
リィ伯爵
ヴァンパイアの魔族で、ヒロインを拉致します。

他シリーズからの人物（新約 聖剣伝説）

『新約 聖剣伝説』には、他の聖剣伝説シリーズからのキャラクターがゲストとして登場します。

デュラック：『聖剣伝説2』から登場。ロリマーの王子。
イザベラ：『聖剣伝説3』から登場。リィ伯爵の旧友。
死を食らう男：『聖剣伝説3』から登場。魂を喰らう魔族。
サボテン君：『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』から登場。サボテンハウスに住む植物。
ニキータ：『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』から登場。旅の商人。
アナグマ：『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』から登場。ワッツと共にミスリルを探しています。

他機種版

携帯電話アプリ版

2006年に携帯電話アプリとしてリメイクされました。原作を忠実に再現しつつ、画面がフルカラー化され、様々な機能が追加されました。

PlayStation Vita / iOS / Android版

2016年には3Dでフルリメイクされました。グラフィックが3D化され、操作性が向上しました。

音楽

作中のBGMは伊藤賢治が担当しています。

スタッフ

メインプログラム：吉枝悟
音楽、効果音：伊藤賢治
グラフィック：渋谷員子
ゲームデザイン、シナリオ：北瀬佳範
ディレクター：石井浩一

評価

ゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューでは、ゴールド殿堂入りを果たしています。

『新約 聖剣伝説』

2003年にゲームボーイアドバンスで発売されたリメイク作品です。

概要

ゲームボーイ版を原作としていますが、ストーリーやキャラクター設定が大幅に変更されています。FFシリーズとの関連性も薄れ、独自の進化を遂げています。

ゲーム内容

主人公の選択や、リングコマンドの採用、精霊の登場など、様々な新要素が導入されています。

音楽

ゲームボーイ版と同じく、伊藤賢治が担当しています。

スタッフ

プロデューサー：石井浩一
ディレクター：大印健生
* 音楽：伊藤賢治

評価

ゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューでは、シルバー殿堂入りを果たしています。

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