聖和大学

聖和大学：その歴史と教育の軌跡

聖和大学は、兵庫県西宮市に存在した私立大学です。1964年に聖和女子大学として開学し、2013年に閉学するまでの間、女子教育から共学化、そして関西学院との法人合併という変遷をたどりました。その教育理念はキリスト教精神に基づき、特に幼児教育分野においては、全国に先駆けた取り組みで知られています。

大学の概要

聖和大学は、大学院、学部は男女共学でしたが、短期大学部は女子のみという構成でした。キャンパスには、ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計による美しい校舎が現存しています。大学の設置者であった学校法人聖和大学は、2009年に学校法人関西学院と合併し、その歴史に幕を閉じました。合併に伴い、短期大学部は聖和短期大学に改組され、大学院は2011年に、大学は2013年にそれぞれ廃止されました。

沿革：三つの源流から大学へ

聖和大学のルーツは、1880年創立の組合派神戸伝道女学校、1888年創立のメソジスト派ランバス記念伝道女学校、そして1895年創設の広島女学校師範科の三つの学校に遡ります。1941年、これら三校が「聖なる和合」のもと統合され、聖和女子学院が誕生しました。戦後の学制改革により、1950年には聖和女子短期大学が、1964年には聖和女子大学が開設されました。1973年には、幼児教育学専攻としては全国初の大学院が開設されています。

共学化と変革

創立以来、女子教育機関であった聖和大学ですが、1981年に校名を聖和大学・聖和短期大学に変更し、大学院への男子学生の入学を許可。翌1982年には、大学も男女共学となりました。1988年には、聖和短期大学を聖和大学短期大学部に名称変更し、1992年には大学院に博士課程を開設するなど、教育内容の充実を図りました。

関西学院との法人合併

聖和大学と関西学院は、同じメソジスト派の学校を源流とし、地理的にも近い関係にありました。また、聖和大学の創立者の一人であるメアリー・イザベラ・ランバスは、関西学院の創立者ウォルター・ラッセル・ランバスの母という縁もあり、姉妹校としての関係が深かったのです。

2006年、両大学の法人合併に向けた協議が開始され、2009年に学校法人聖和大学は学校法人関西学院と合併しました。この合併に伴い、聖和大学の学部は関西学院大学に再編され、聖和大学短期大学部は聖和短期大学に、附属聖和幼稚園は聖和幼稚園（現：関西学院幼稚園）と改称されました。そして、関西学院大学教育学部が聖和の校地（聖和キャンパス）に新設され、幼稚園から大学院までの一貫教育体制が整いました。

大学の終焉と遺産

聖和大学の教育学部・人文学部、そして大学院は、在校生の卒業・修了を待って廃止されました。大学院は2011年に、大学は2013年にその歴史に幕を閉じました。しかし、聖和大学の教育理念や、その地で育まれた人材は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

略年表

1880年：神戸伝道女学校設立
1888年：ランバス記念伝道女学校設立
1895年：広島女学校に保母師範科設立
1941年：聖和女子学院となる
1950年：聖和女子短期大学開設
1964年：聖和女子大学開設
1973年：大学院開設（幼児教育学専攻としては全国初）
1981年：校名を聖和大学・聖和短期大学とし、大学院に男子学生入学
1982年：学部が男女共学となる
2009年：学校法人聖和大学が学校法人関西学院と法人合併
2011年：大学院廃止
2013年：大学廃止

組織

聖和大学

教育学部
幼児教育学科
人文学部
グローバル・コミュニケーション学科
キリスト教学科
大学院
教育学研究科
幼児教育学専攻
聖和大学短期大学部
保育科
附属施設
聖和幼稚園
児童相談研究所
聖和乳幼児保育センター

特徴と関連校

聖和大学人文学部キリスト教学科は、日本基督教団のキリスト教教育主事を養成する唯一の機関でした。また、神戸女学院大学とは隣接していました。なお、清和大学、聖和女子学院中学校・高等学校、聖和学園短期大学などとは直接的な関係はありません。

著名な関係者

教職員
荘司雅子（元教育学部・大学院教授、フレーベル研究の第一人者）
竹中正夫（元人文学部教授、組織神学）
黒田実郎（元教育学部・大学院教授、発達心理学）
鳥越信（元大学院教授、児童文学・絵本学）

出身者
浦野靖人（衆議院議員、大阪府議会元議員）
松原裕（音楽プロデューサー）
筒泉寿一（明石市議会議員）
山崎静代（お笑いタレント、女優）

部活動

タッチフットボール部女子は、全国タイトルを複数回獲得した強豪として知られていました。

聖和大学は、その歴史を通じて多くの人材を育成し、教育界に貢献しました。その精神は、関西学院大学に引き継がれ、今もなお、その影響は続いています。

もう一度検索