聖年

聖年（せいねん）とは

聖年（ラテン語: Iobeleus、英語: Holy Year, Jubilee Year）は、カトリック教会における特別な年であり、ローマへの巡礼者に特別な赦しが与えられるとされています。この伝統は、旧約聖書のレビ記に記された「ヨベルの年」に由来します。プロテスタント教会には、聖年という概念はありません。

聖年の起源と変遷

聖年の制度は、1300年に教皇ボニファティウス8世によって初めて定められました。当初は100年ごとに行われていましたが、その後、50年、33年と間隔が短縮され、現在では通常25年ごとに行われるようになりました。また、教皇が特に定める「特別聖年」も存在します。

1300年以降、1350年（クレメンス6世）、1390年（ボニファティウス9世）、1400年と聖年が重ねられました。その後、おおよそ25年ごとに聖年が祝われてきましたが、1800年と1850年は例外的に聖年とはなりませんでした。ミレニアムの節目であった2000年は「大聖年」とされ、26回目の聖年にあたります。2016年には、教皇フランシスコによって特別聖年が実施されました。

贖宥状（免罪符）について

かつては、ローマへの巡礼が困難な人々のために、巡礼と同等の効果を持つとされる贖宥状（いわゆる免罪符）が発行されていました。この措置は、ボニファティウス9世の時代、教会大分裂の混乱期に、フランスなどの妨害により巡礼が困難であった状況を鑑みて取られたものです。しかし、16世紀のトリエント公会議（1545年–1563年）の決議により、贖宥状の発行は廃止されました。

2000年大聖年と巡礼地

2000年の聖年では、ヨハネ・パウロ2世の教皇大勅書によって規定が定められ、特定の教会が巡礼の対象となりました。これらの教会は、日本国内にも存在します。

2025年聖年

次回の聖年は2025年であり、2024年12月24日に教皇フランシスコがサン・ピエトロ大聖堂の「聖なる扉」を開くことで開始され、2026年1月6日にこの扉が閉じられることで終了します。世界各地のカトリック教会では、2024年12月29日から2025年12月28日までが聖年となります。

聖なる扉の開放

聖年の際には、ローマにある以下の4つの主要な大聖堂において、「聖なる扉 (Porta Santa)」が開かれます。これらの扉は通常、聖堂の内側から塗り固められています。この儀式は、1500年に教皇アレクサンデル6世によって初めて行われました。

現在の規定では、サン・ピエトロ大聖堂の聖なる扉を教皇が開いた後、他の3つの大聖堂の聖なる扉が、教皇の代理者によって開かれます。

1. サン・ピエトロ大聖堂（聖年初日に開門の儀式が行われ、4大聖堂の中で最初に開放される）
2. サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂
3. サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂
4. サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂

聖年一覧（主なもの）

1300年：ボニファティウス8世
1350年：クレメンス6世
1390年、1400年：ボニファティウス9世
1425年：マルティヌス5世
1450年：ニコラウス5世
1475-1476年：シクストゥス4世
1500年：アレクサンデル6世
...（中略）...
2000年：ヨハネ・パウロ2世（第三千年紀開始の大聖年）
2016年：フランシスコ（神のいつくしみの特別聖年）
* 2025年：フランシスコ（予定）

聖年は、カトリック信者にとって信仰を深め、刷新する特別な機会となっています。

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