聖座

聖座とは

聖座（ラテン語: Sancta Sedes、英語: Holy See）は、ローマ・カトリック教会における非常に重要な概念です。これは、単にローマ教皇個人を指すだけでなく、教皇が持つ最高権威、職権、そしてそれを支える教皇庁（Curia Romana）を含む組織全体を意味します。

聖座の権威

カトリック教会において、聖座は使徒ペトロに由来する首位権と不可謬性を有するとされています。教会法（Can. 333 § 3 CIC 1983）によれば、この権威は普遍的かつ正統なものであり、教皇は教会の最高指導者としてその権威を行使します。

国際法上の聖座

国際法上、聖座は主権実体として扱われます。バチカン市国の三権を掌握し（バチカン市国基本法第一条）、外交使節を派遣する権利も有しています（バチカン市国基本法第二条）。これは、聖座が単なる宗教組織ではなく、国際社会における独立した主体であることを示しています。

聖座の名称

「聖座」という日本語訳は、主に日本のカトリック教会で教皇庁または教皇本人を指す際に用いられます。英語の "Holy See" やドイツ語の "Heiliger Stuhl" も同様の意味で使われます。ただし、英語の "Holy See" は、単に司教座を指す場合もあり、東方教会の総主教も使う称号です。

また、マインツ大司教座（現マインツ司教座）も、歴史的経緯から "Heilige Stuhl" の称号を有していますが、カトリック教会内で単に「聖座」と言う場合は、一般的にローマ教皇を指します。

使徒座としての聖座

聖座は、使徒座（ラテン語: Apostolica Sedes）とも呼ばれることがあります。教会法上、聖座と使徒座はどちらも教皇と教皇庁を指しますが、実務上は、教義に関する公式文書（教会憲章、回勅、教令など）を発信する際には「使徒座」の名称が使われることが多いです。

日本における聖座の解釈

日本の外務省は、教皇と聖座の複雑な関係を考慮し、「法王聖座」という用語を用いています。これは、ローマ教皇と教皇庁を総称した概念として使われています。

また、バチカンは、ローマ教皇を国家元首とする独立国家であるバチカン市国と、国際法上の主権実体である法王聖座を合わせた概念として用いられます。国際連合におけるバチカンの代表名義も、聖座（Holy See）として登録されています。

まとめ

聖座は、ローマ・カトリック教会における最高権威であり、国際法上の主権実体としての側面も持ち合わせています。教皇の権威と教皇庁の活動を包含する概念であり、その理解はカトリック教会の構造と国際社会におけるバチカンの役割を理解する上で不可欠です。


関連事項

• - 教皇首位説
• - 教皇不可謬説
• - バチカン
• - ローマ教皇庁
• - 聖座から贈られる勲章等一覧
• - 聖座とアメリカ合衆国の関係

もう一度検索