肇敏 (練習艦)

肇敏（ちょうびん）艦の概要

肇敏は日本海軍の練習艦として、明治時代に重要な役割を果たしました。艦名は「事を開き始めてすみやかに行う」という意味があり、古典文学『詩経』から名前が取られたとされます。日本海軍に購入されたのは明治4年（1871年）で、カナダで建造された木造の帆船です。この艦は当初、「春風丸（しゅんぷうまる）」という名前で運送船としての任務を果たし、176.5フィート（約53.7メートル）の長さを持っていました。

建造と初期の活動

肇敏の建造年は不明ですが、1871年の購入後、運送船として石炭や火薬の輸送任務に従事しました。1873年には「肇敏丸（ちょうびんまる）」に改名され、西南戦争では兵員や物資の輸送にも活用されました。特に、1877年の西南戦争においては重要な輸送任務を担い、その歴史において重要な位置を占めています。

艦型とスペック

肇敏は3檣バルク型の帆船であり、排水量は約885トンに及んでいました。さまざまな文献により、艦の長さに関する値は多少異なりますが、137フィートから42.8メートルの範囲に収まります。幅はおおよそ29フィート（8.8メートル）です。

海軍の編成と練習船への転換

1877年、艦は練習船としての役割を果たすよう改編されました。これは海軍教育の一環であり、肇敏は兵学校などでの訓練に用いられました。品質向上のために、艦は大規模修理を受ける必要がありましたが、これは艦隊の運用にとって重要なステップとなりました。

廃艦とその後の運命

艦は1886年に「艦体が腐朽し軍艦の用に堪え難」となり廃艦にされ、除籍されました。その後も艦の船体は海兵団や他の艦艇の付属として利用され、1896年に売却されました。このことからも、肇敏はその後の日本海軍の成長を支えた艦船であることがわかります。

艦長たち

肇敏の艦長には幾人かの海軍将校が就任しました。最初の艦長である植田吉蔵は春風丸時代からその地位にあり、次いで上田吉蔵が艦長に就任するなど、様々なリーダーが艦を指揮してきました。

結論

肇敏は日本海軍の歴史における重要な艦船であり、経歴は単なる練習艦に留まらない多様な活動を持っていました。艦の設計や運用は時代の変遷に伴い進化し、最終的に日本海軍が国際社会での役割を果たすための一端を担ったと言えるでしょう。

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