肩甲挙筋

肩甲挙筋について

肩甲挙筋は、首の骨（頸椎）と肩甲骨をつなぐ筋肉であり、背中の筋肉である棘腕筋の一つです。首の付け根から肩甲骨にかけて斜めに走行しています。

起始と停止

肩甲挙筋は、以下の部位に起始・停止します。

起始: 第1～第4頸椎の横突起
停止: 肩甲骨上角と、それに続く肩甲骨内側縁

肩甲挙筋は、首の深層にある胸鎖乳突筋のさらに奥から起始することがあります。また、頭板状筋と起始部が隣接していたり、一部が入り込んでいたり、僧帽筋の深部に位置していたりするなど、周辺の筋肉と複雑な関係を持っています。

作用

肩甲挙筋は、主に以下の作用があります。

肩甲骨の挙上: 肩甲骨を上に引き上げる
肩甲骨の下方回旋: 肩甲骨を内側に引き寄せる

肩甲骨の挙上や回旋を行う際には、頸椎を安定させることが重要です。左右の肩甲挙筋が均等に力を出すことで、頸椎の安定に貢献します。肩甲骨の下方回旋は、菱形筋や小胸筋といった他の筋肉と共同して行われます。ただし、僧帽筋の上部繊維が下方回旋の主な役割を担っています。

肩甲骨が固定されている場合、肩甲挙筋は頸椎を回旋させたり、外側に曲げたりする作用があります。両側の肩甲骨が固定されている場合は、両側の肩甲挙筋が協調して働くことで、頸椎を直立に保ちます。

周辺組織との関係

肩甲挙筋は、後頸三角に位置しています。肩甲挙筋の上部は胸鎖乳突筋、下部は僧帽筋に覆われています。また、中斜角筋の前方、頚板状筋の後方を走行しています。脊髄副神経が肩甲挙筋の中部外側を横切り、肩甲背神経が深部に入り込むか、または筋肉を貫通します。

肩こりとの関係

不良姿勢や長時間のデスクワークなどにより、肩甲挙筋に過度な負担がかかると、筋肉が緊張して肩こりの原因となることがあります。肩甲挙筋が緊張すると、首や肩の動きが悪くなり、不快感や重苦しさ、痛みなどを感じることがあります。

関連用語

棘腕筋
胸鎖乳突筋
僧帽筋
菱形筋
小胸筋

関連項目

背中
解剖学
人間の筋肉の一覧

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