胎内ディアーズ

胎内ディアーズ（たいないディアーズ、英語表記：Tainai Deers）は、日本の新潟県胎内市を活動拠点とするアメリカンフットボールクラブチームです。国内社会人リーグの最高峰であるXリーグにおいて、X1 Areaカテゴリーに所属しています。かつては実業団チーム「鹿島ディアーズ」として発足し、その後「リクシルディアーズ」「ディアーズフットボールクラブ」と名称や運営形態を変遷させてきました。この記事では、現在の胎内ディアーズに至るまでの歴史とチームについて解説します。

概要

チームの起源は1989年、鹿島建設の社内チーム「鹿島ディアーズ」として創部されたことにあります。翌1990年には当時の社会人リーグ（現在のXリーグ）に加盟しました。創部から短期間で頭角を現し、わずか2年で関東社会人1部リーグへの昇格を果たすなど、急速に強豪チームへと成長しました。

運営形態は時代と共に変化しており、2014年シーズンからは住宅設備メーカーのLIXILをメインスポンサーとするクラブチームに移行しました。さらに2022年シーズンからは、新潟県に拠点を置くNSGグループが経営権を引き継ぎ、現在の胎内ディアーズとして新潟県胎内市を新たなホームタウンに定めて活動しています。

チームの愛称である「ディアーズ」は、創部以来一貫して使用されており、「誇り高き雄鹿たち」という意味が込められています。チームカラーはバーガンディです。

これまでに日本社会人選手権には計6回出場し、1997年と2009年には優勝。当時のルール下で行われたライスボウル（社会人王者対学生王者決定戦）でも、それぞれ翌年の大会（1998年大会、2010年大会）で勝利を収め、日本一に輝くなど、輝かしい実績を持つ古豪として知られていますが、近年はリーグ優勝からは遠ざかっています。

歴史

鹿島時代（1989年〜2013年）

1989年、鹿島建設社内のアメリカンフットボール経験者を中心に、有志15名が集まり「鹿島ディアーズ」が誕生しました。創部当初のスローガンは「5年で日本一」という高い目標を掲げました。東京都調布市にある鹿島建設柴崎グラウンドを練習拠点として活動を開始。全日本クラスの選手の加入もあり、チーム力は急速に向上し、1990年には春季関東社会人トーナメント優勝を経て関東社会人2部へ、1991年には関東社会人1部へと立て続けに昇格し、関東地方の強豪としての地位を確立しました。

その後も有力選手の加入が続き、1995年には春季パールボウルトーナメントで初優勝を果たしました。そして1997年、東京スーパーボウル（現在のジャパンXボウル）に出場し、松下電工インパルス（現在のパナソニックインパルス）を48対12で破り優勝。さらに、ライスボウルでは法政大学トマホークスを39対0で完封し、創部から9年目で初めて日本一の栄冠を獲得しました。

しかし、その後のリーグ戦においては、上位リーグであるFINAL6には常連として進出するものの、決勝戦である東京スーパーボウル（後にジャパンXボウル）への出場は計2回にとどまるなど、苦戦が続きました。一方で、春季パールボウルトーナメントでは通算5度の優勝を記録しており、春の強さを見せつけました。

2009年には、ジャパンXボウルで富士通フロンティアーズを21対14で下し、12年ぶりとなる社会人王座に返り咲きました。続くライスボウルでは関西大学カイザースと対戦し、試合終了間際の劇的なフィールドゴールにより19対16で勝利。12年ぶり2度目の日本一を達成しました。2013年、創部以来チームを支えてきたオーナー企業である鹿島建設が、この年度をもって支援を終了することを表明しました。

LIXIL時代（2014年〜2021年）

2014年1月30日、住宅設備大手のLIXILが新たなスポンサーとして契約を締結しました。これによりチームは実業団からクラブチームへと形態を変え、チーム名を「リクシルディアーズ」に変更しました。活動の練習拠点については、この期間も引き続き柴崎グラウンドが使用されました。2019年にはヘッドコーチの交代が行われ、高野元秀氏が就任しました。2021年、LIXILとのスポンサー契約期間が満了となり、チーム名を暫定的に「ディアーズフットボールクラブ」に変更して活動を継続しました。

胎内ディアーズ時代（2022年〜）

2022年、新潟県を拠点とするNSGグループがチームの経営権を取得しました。これに伴いチーム名を「胎内ディアーズ」に変更し、新潟県胎内市を新たなホームタウンとすることが発表されました。長年にわたり使用してきた調布市の練習拠点については、当面は維持される予定ですが、将来的には10年以内の胎内市への完全移転を目指す方針が示されています。ヘッドコーチについては、2023年に中川靖士氏、2024年には久保崇氏が就任し、チームを率いています。

文化

マスコット

チームのマスコットキャラクターは「DEERくん」です。鹿をモチーフにしており、背番号は33番をつけています。このキャラクターは、鹿島ディアーズ時代からチームと共に活動しています。

チアリーダー

チームには公式のチアリーディングチーム「胎内ディアーズチアリーダーズ」（TAINAI DEERS CHEERLEADERS）があり、試合会場などでパフォーマンスを披露しています。また、アメリカンフットボールの普及活動の一環として、「DEERSチアリーディングスクール」の運営も行っています。

タイトル

胎内ディアーズとその前身チームが獲得した主なタイトルは以下の通りです。

社会人リーグ優勝: 2回
東京スーパーボウル (1987年～2002年): 1回 (1997シーズン)
ジャパンXボウル (2003年～2020年): 1回 (2009シーズン)
社会人リーグ準優勝: 4回
東京スーパーボウル: 1回 (1999シーズン)
ジャパンXボウル: 3回 (2006, 2008, 2012シーズン)
ライスボウル (社会人対学生大会): 2回
優勝: 2回 (1998年大会, 2010年大会)

※()内の年度はシーズン年度またはライスボウル開催年を示します。

主な成績

秋季リーグ戦のフォーマットは時代によって変遷しており、1997年以降は2ステージ制、3ステージ制、Super・Area制などが導入されてきました。2022年・2023年シーズンはX1 Superが2ディビジョン制で行われ、2024年シーズンからは地区分けが導入されています。

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