胸骨正中切開

胸骨正中切開について

胸骨正中切開（Median sternotomy）は、心臓外科及び呼吸器外科における重要な外科手技です。この手術法は、胸部の様々な疾患に対する治療に使われており、特に心臓や呼吸器に関連する手術で頻繁に利用されます。

手術の手順

胸骨正中切開では、最初に皮膚を切開し、その後胸骨を露出させます。次に、専用の胸骨切開用電動鋸を使用して、胸骨を縦方向に切開し、左右に分割します。この切開方法によって、外科医は縦隔内にアクセスしやすくなり、心臓や肺に関連する手術を行うことが可能になります。

手術の適応疾患

この技術は多岐にわたる疾患に対応しています。心臓に関連する手術では、弁膜症や冠動脈バイパス術、心移植、先天性心疾患に対する開心術などが含まれます。また、呼吸器外科においては、胸腺癌や胸腺腫、さらには原発性肺癌の治療に伴う縦隔リンパ節の郭清なども対象となります。これらの手技では、胸骨正中切開が必要不可欠なアプローチです。

胸骨正中切開と開心術の違い

時折、胸骨正中切開と開心術が混同されることがありますが、両者は異なる概念です。開心術は、心膜を切開し、人工心肺を用いて心内操作を行う手術を指します。一方で、胸骨正中切開は心内操作を伴わない切開法であるため、注意が必要です。また、近年では小切開心臓手術（MICS）が普及してきており、こちらは胸骨を切開することなく心臓手術を行う方法です。

再開胸（再手術）の場合

同一の患者に対して胸骨正中切開が複数回行われる場合、2回目以降の手術は「再開胸（resternotomy）」と呼ばれます。このような患者の場合、過去の手術の影響を考慮しながら、慎重なアプローチが求められます。

結論

胸骨正中切開は、心臓及び呼吸器外科の手術における基本的かつ効果的な手技です。適切な手技とアプローチが施されることで、多くの患者に対して治療の可能性を提供しています。

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