能美 (海防艦)

海防艦「能美」の生涯

能美は、日本海軍が建造した御蔵型海防艦の4番艦です。この艦は、広島県の能美島にちなんで命名されました。能美は、その生涯を第二次世界大戦という激動の時代の中で、船団護衛任務を中心に各地を転戦し、数々の戦闘を経験しました。

計画から竣工まで

能美は、マル急計画に基づき、海防艦甲の17番艦として計画されました。当初は第326号艦という仮称艦名でしたが、後に能美と命名されました。1943年8月10日に日立造船桜島造船所で起工し、同年12月3日に進水。1944年2月28日に竣工し、横須賀鎮守府警備海防艦として任務に就きました。

第二海上護衛隊での活動

竣工後、能美は呉防備戦隊に編入され、基礎術力練成教育に従事しました。その後、第二海上護衛隊に編入され、東松船団の護衛任務に就きました。1944年3月には、足摺岬沖合で雷撃を受け、爆雷攻撃を行いました。その後、パラオへの船団護衛にも従事しましたが、パラオ大空襲のためサイパンに退避しました。

大湊警備府での活動

1944年6月、能美は横須賀鎮守府作戦指揮を解かれ、大湊警備府の作戦指揮下に入りました。宗谷防備部隊に所属し、樺太、千島列島、北海道方面での船団護衛、哨戒、救難に従事しました。能美は、この地で多くの船団護衛任務をこなし、また座礁した船舶の救難活動にも参加しました。

第一海上護衛隊/第一護衛艦隊での活動

1944年10月、能美は大湊警備府部隊から除かれ、第一海上護衛隊の作戦指揮下に入りました。内地とシンガポール間の護衛任務に従事することになり、ヒ79船団を護衛してシンガポールへ向かいました。その後、ヒ80船団を護衛して帰還し、佐世保で整備を行いました。

第一海上護衛隊は第一護衛艦隊に改編され、能美はモタ28船団を護衛して台湾高雄に到着。その後、タマ38船団を護衛してルソン島サンフェルナンドへ向かいました。しかし、空襲により多くの損害を受けました。その後、ヒ87船団を護衛してシンガポールへ向かう途中で、米軍機動部隊の空襲を受け、大きな損害を受けました。能美も損傷し、戦死者を出しました。

沈没

1945年2月、能美は第一海防隊に編入され、船団護衛任務に従事しました。3月には呉で修理を受け、兵器換装を行いました。4月、能美はモシ02船団を護衛して門司を出発しましたが、済州島飛揚島の泊地で、アメリカ潜水艦ティランテの魚雷攻撃を受けました。この攻撃で、壽山丸が沈没し、能美も艦橋直下に魚雷が命中、弾薬庫が誘爆し轟沈しました。第一海防隊司令池田映大佐、海防艦長の箟源三郎少佐以下、多くの乗組員が戦死しました。

能美の戦歴

能美は、数多くの船団護衛任務に従事し、敵潜水艦との戦闘や空襲を経験しました。その戦歴は、まさに激戦の連続でした。

その後

1945年5月、能美は帝国海防艦籍から除籍されました。その艦名は、海上自衛隊のあわじ型掃海艦4番艦「のうみ」に受け継がれています。能美は、その短い生涯の中で、多くの困難に立ち向かい、勇敢に戦い抜いたのです。

能美の生涯は、第二次世界大戦という激動の時代を象徴するものであり、その犠牲は決して忘れられるべきではありません。

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