脇村孝平

脇村孝平：アジア経済史研究の第一人者

脇村孝平氏は、1954年生まれの日本の経済学者であり、アジア経済史、とりわけインド経済を専門とする第一人者です。大阪市立大学での教授職を経て、現在は大阪経済法科大学において副学長として活躍されています。日本南アジア学会理事長も務めた経験を持ち、その研究活動は国内外に大きな影響を与えています。

学究の道の歩み

兵庫県西宮市出身の脇村氏は、兵庫県立西宮高等学校卒業後、1972年に大阪市立大学経済学部に入学しました。大学3年生時に選択した低開発経済論ゼミがきっかけとなり、本田健吉教授の下で南北問題を研究。この経験が、彼を研究者の道へと導きました。大学卒業後は2年間の浪人を経て、1978年に大阪市立大学大学院経済学研究科に進学します。

大学院前期課程では古賀正則教授に師事し、独立後のインドの農業問題を研究。後期課程では、当初は杉原薫教授、後に中岡哲郎教授の指導の下で、本格的な経済史研究に取り組み始めました。1986年には、文部省の派遣留学生としてデリー大学デリー・スクール・オブ・エコノミクスに2年間留学。ダーマ・クマール教授の指導のもと、19世紀インドにおける飢饉に関する研究を行いました。

1990年には大阪市立大学大学院経済学研究科博士課程を単位取得退学。その後、日本で初めてのアジア経済史専任教員として大阪市立大学に助手として着任。1992年には助教授に、1998年には教授に昇進しました。1997年にはロンドン大学東洋アフリカ研究学院（SOAS）で1年間の在外研究を行い、研究の幅を広げました。2002年には「飢饉・疫病・植民地統治 開発の中の英領インド」という博士論文で大阪市立大学より経済学博士号を取得しています。

その後も研究活動は盛んに行われ、2018年には日本南アジア学会理事長に就任。2021年には大阪経済法科大学副学長兼教務部長に就任し、現在に至ります。

研究業績

脇村氏の研究は、主に19世紀インドにおける飢饉や疫病、植民地統治、そして開発問題といった多岐にわたるテーマを扱っています。歴史的視点と経済学的分析手法を巧みに組み合わせ、英領インドにおける社会経済構造やその変遷を詳細に解明することに貢献しました。

主な著書として、『飢饉・疫病・植民地統治 開発の中の英領インド』（名古屋大学出版会、2002年）が挙げられます。この著作は、彼の長年の研究成果を結集したものであり、インド経済史研究に大きな影響を与えました。また、共編著や共著、翻訳など多数の著作・論文を発表し、多方面から高い評価を受けています。

まとめ

脇村孝平氏は、アジア経済史、特にインド経済に関する深い知識と洞察力を持つ、日本を代表する経済学者の一人です。その学術的な貢献は高く評価されており、今後もその活躍に期待が集まります。彼の研究は、歴史的背景を踏まえた上で現代社会の課題を分析する上で重要な示唆を与えてくれるでしょう。

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