脇田和

脇田 和：国際的な活躍を見せた昭和期の巨匠

脇田和（1908年-2005年）は、20世紀を代表する日本の洋画家の一人です。東京青山に生まれ、旧制青山学院中学部を中退後、1925年にベルリン国立美術学校へ留学。人体デッサンや版画、七宝など幅広い技法を学び、1930年の卒業時には金メダルを受賞するなど、早くから才能を認められました。

帰国後は、太平洋画会や帝展に出品、才能を開花させます。1935年には、帝国美術院改革に反対する会員で結成された二部会の展覧会で昭和洋画奨励賞を受賞。その後、新制作派協会（現・新制作協会）の創立メンバーとなり、同協会展へ継続的に作品を発表しました。第二次世界大戦中は、軍の記録映画制作や報道活動に従事。相模湖付近への集団疎開時には、芸術家村構想を提案するなど、時代の変遷の中でも創作活動を続けました。

戦後、脇田和は日本国際美術展で最優秀賞（1955年）、毎日美術賞とグッケンハイム国際美術展国内賞（1956年）を受賞するなど、国際的な舞台でも高い評価を受けました。1964年には東京芸術大学助教授に就任、1968年には教授となり後進の育成にも尽力。1970年に同大学を退官した後も精力的に制作を続けました。1991年には、自身の作品を展示する脇田美術館を軽井沢に開館し、館長を務めました。

その画業は高く評価され、勲四等旭日小綬章を受章（日付不明）、1998年には文化功労者にも選出、さらに1999年には東京藝術大学名誉教授となりました。晩年は心筋梗塞のため、2005年11月27日に逝去しました。享年97歳。

脇田和の作品は、油彩画を中心に、静謐な中に力強さを感じさせる独特の画風で知られています。代表作には、『窓』（1966年）や『対話する鳥たち』（1972年）などがあります。また、絵本『おだんごぱん』（ロシア民話、訳：瀬田貞二）の挿絵も手掛けています。

彼の作品は、脇田美術館の他に、東京国立近代美術館、島根県立美術館、福島県立美術館、世田谷美術館など、多くの美術館に収蔵されており、現在も広く鑑賞されています。脇田和は、戦前からの画壇を牽引し、国際的な活躍も果たした、日本を代表する洋画家のひとりとして、日本の美術史に大きな足跡を残しました。彼の作品からは、時代の変化や自身の経験が織りなす、静謐で奥深い世界観が感じられます。彼の作品は、見る者に深い感動と様々な解釈を与え、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。 脇田和の芸術は、後世の画家たちに多大な影響を与え続け、日本の美術界発展に大きく貢献したことは間違いありません。彼の功績は、これからも語り継がれていくでしょう。

主要作品

『窓』 油彩 145.5×112.1cm (1966年)
『対話する鳥たち』 油彩 116.7×91cm (1972年)
絵本『おだんごぱん』(ロシア民話、訳：瀬田貞二) 挿絵

主要な作品収蔵先

脇田美術館
東京国立近代美術館
島根県立美術館
福島県立美術館
世田谷美術館

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