脈流

脈流（Pulsating current）とは

脈流とは、電流の流れる方向は一定であるものの、その電流や電圧の大きさが時間とともに周期的または不規則に変動する電流のことを指します。この電流は、脈動電流とも呼ばれます。日常生活で使用する多くの電子機器の電源回路に不可欠な要素です。

脈流の生成

通常、脈流は交流電流を直流電流に変換する過程（整流）で生成されます。交流電流は時間とともに電流の方向が周期的に変化しますが、これを整流回路に通すことで、電流が一方向にのみ流れるようになります。しかし、整流された直後の電流は、まだ脈動しており、滑らかな直流とは言えません。

平滑回路とその役割

整流された脈流は、平滑回路と呼ばれる部分で波形が整形されます。平滑回路は、コンデンサやチョークコイル（リアクトル）などの部品で構成されており、脈流の変動を抑えて滑らかな直流電流に近づけます。平滑回路によっても完全に除去しきれない脈流の残存成分は、リップル（Ripple）またはリプルと呼ばれます。

スイッチング電源回路

近年の半導体技術の進歩により、従来の変圧・整流・平滑方式（ドロッパ方式）に代わり、半導体をスイッチとして高速でオン・オフする「スイッチング電源回路」が広く使用されるようになりました。この回路でも平滑回路は用いられますが、スイッチング速度が非常に速いため、コンデンサを小型化することが可能です。しかし、この回路でもリップルやスイッチングノイズといった形で脈流の残存成分が発生します。

脈流と身近な機器

身近な例として、ACアダプタがあります。多くの場合、ACアダプタは二次電池の充電や、比較的単純な機械類の動力源として利用されており、必ずしも電圧の安定性を高く要求しない用途に使用されます。そのため、これらの機器では、脈流やリップルが残った波形の出力特性を持っていることが多いです。もし、安定した直流電流が必要な場合は、安定化電源装置のような専用の機器を使用する必要があります。

回路における脈流

上記の回路で、平滑化処理を行う前の電流はすべて脈流です。つまり、交流から直流への変換プロセスにおいて、必ず脈流は発生します。

脈流の周波数

整流回路の種類によって、出力される脈流の周波数は異なります。

• - 半波整流回路：出力の主な周波数は、入力周波数と同じです。
• - 全波整流回路：出力の主な周波数は、入力周波数の2倍です。

平滑コンデンサの役割

平滑回路で重要な役割を果たすのが、平滑コンデンサです。これは出力端子間に挿入され、脈動成分を低減させる働きがあります。静電容量が大きいほど、また負荷抵抗が小さいほどコンデンサからの放電が緩やかになり、脈動成分は小さくなります。

まとめ

脈流は、電子回路において欠かせない要素であり、様々な電子機器の動作を支えています。交流から直流への変換プロセスには不可欠であり、平滑回路によって可能な限り直流に近づけられます。しかし、完全に脈流をなくすことは難しいため、リップルやノイズといった形で残存成分が発生します。これらを理解することで、電子機器の動作原理や電源回路の設計をより深く理解することができます。

脚注

関連項目

• - 直流
• - スイッチング電源
• - 電源回路
• - 整流器
• - バイパスコンデンサ

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