脳静脈洞血栓症

脳静脈洞血栓症（CVST）についての詳しい解説

脳静脈洞血栓症（Cerebral venous sinus thrombosis, CVST）は、脳内の静脈洞に血栓が形成される疾患です。脳から血液を排出する役割を持つ硬膜静脈洞が影響を受けるため、この疾患は様々な神経学的症状を引き起こす可能性があります。典型的な症状には、頭痛、視覚障害、片側の体の衰弱、さらにはけいれん発作が含まれます。特に、脳卒中の一形態としても考えられており、合併症としてクモ膜下出血を引き起こすこともあります。

この疾患のリスク要因は多岐にわたり、約85%の症例に何らかの関連が見られます。これには遺伝的要因、避妊薬の使用、妊娠時の身体の変化、頭頸部の感染症、血管炎、癌、脱水、肥満などが含まれます。特に女性はリスクが高く、男性の約3倍の罹患率を示しています。

診断方法

脳静脈洞血栓症の診断は通常、コンピュータ断層撮影（CTスキャン）や核磁気共鳴画像法（MRI）を用いて行われます。一般的に、横静脈洞や上矢状静脈洞が最も多く影響を受ける静脈洞であり、それぞれ86%および62%の症例で関与しています。症状の発現時期に基づいて、疾患は急性（48時間未満）、亜急性（48時間から1ヶ月）、慢性（1ヶ月以上）の3つに分類されます。診断のために追加の検査が実施されることもあります。

治療法

治療には、抗凝固薬が主に使用され、特に低分子量ヘパリン（LMWH）が好まれます。一般的に、血栓形成から3〜12か月の間、抗凝固療法を継続します。まれに、血栓溶解療法を行うこともありますが、高度な医療が必要です。また、脳静脈洞血栓症は頭蓋内圧の上昇に伴い症状が悪化する場合があるため、アセタゾラミドや腰椎穿刺、シャントの設置などによるさらなる治療が導入されることもあります。再発率は低いものの、最大で3%の症例で再発の可能性があると言われています。

疫学

脳静脈洞血栓症は比較的まれな疾患で、発症率は100万人あたり3〜40人とされています。具体的には、脳卒中を経験した患者の中で約1%がこの病に起因しているとされ、病気にかかる人の約9.4%が死亡することも報告されています。この疾患の最初の記録は1825年にフランスの医師Ribesによってなされました。

このように、脳静脈洞血栓症は複雑で多様な症状を呈する病気ですが、早期の診断と適切な治療によって予後が改善される可能性があります。医療機関での定期的な健康診断や、症状が出た際の迅速な対処が重要です。

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