腐り姫

腐り姫〜euthanasia〜

『腐り姫〜euthanasia〜』は、2002年2月8日にアダルトゲームブランドであるライアーソフトからリリースされたパソコン用アダルトゲームで、シリーズ第6作目となる本作は、テーマとして「euthanasia」、つまり安楽死を取り扱っています。

ゲーム概要

本作は、一般的にビジュアルノベルやアドベンチャーゲームといったジャンルに分類されますが、そのゲームスタイルには工夫が施されています。背景に固定された画像を利用し、その上にテキストを表示する方式に少し手を加え、ワイドスクリーンサイズに設計されたカットシーンを採用。画面下に字幕形式でテキストが表示され、映画的な演出を取り入れているのが特長です。例えば、リビングで家族が集まるシーンでは、斜め上からの視点が使われますが、重要な対話シーンではキャラクターのバストアップが表示され、他のゲーム同様の演出も見受けられます。

本作はインモラル・ホラーアドベンチャーとして位置づけられ、leafの『雫』やアリスソフトの『アトラク＝ナクア』といった伝奇作品の系譜の中で、独自の性描写を重視します。これにより、従来のライアーソフト作品のコメディ要素からの脱却を図りましたが、単なる強姦描写には頼らず、より近親相姦という背徳感のあるテーマに焦点を当てている点が特徴です。ただし、実際のゲーム内容では、これらの表現は暗示的に行われ、明示されることはありませんでした。

物語は、主人公とその家族が、赤い着物を身にまとった少女「蔵女」によって導かれる、記憶と現実の綻びといったテーマを背負っています。舞台となる架空の街「とうかんもり」は、実際の様々な地点をモデルにした設定で、古民家を活かした景観が特徴です。

ストーリー

主人公は、父親と妹を失った記憶を喪失した大学生。療養のために故郷の町「とうかんもり」に帰ると、妹に酷似した「蔵女」と出会います。彼を取り巻く家族や友人たちは、表面上は彼の回復を望む一方で、何かを隠している様子。やがて、蔵女は心の隙間から侵入し、心身を蝕む甘美な欲望と狂気の夢を与え始める。失った記憶の一端を取り戻すにつれ、主人公は家族や友人の真実と向き合い、苦悩することになります。物語は、死者たちの影や伝承と絡み、お互いに複雑に関連し合いながら展開していきます。

登場キャラクター

• - 簸川五樹（ひのかわ いつき）: 主人公の大学生で、記憶喪失に苦しむ。
• - 蔵女（くらめ）: 深紅の着物を纏う謎の少女。
• - 簸川樹里（ひのかわ じゅり）: 主人公の死んだ実妹。
• - 簸川芳野（ひのかわ よしの）: 義母で盲目の女性。
• - 簸川潤（ひのかわ じゅん）: 義理の妹。
• - 伊勢きりこ（いせ きりこ）: 主人公の同級生で自称恋人。
• - 簸川夏生（ひのかわ なつき）: 幼馴染の町役場員。
• - 山鹿青磁（やまが せいじ）: 幼馴染の歯科技工士。

評価と影響

本作は、スリリングなゲーム体験と斬新な演出で話題となり、ライアーソフトの中でヒット作の一つに数えられています。製作は星空めておが手掛け、絵画や音楽と共に作品全体にわたる一貫したビジュアル体験が評価されました。これにより、相互に絡み合う人間関係や、記憶と忘却の意味について深く考えさせられることが特徴的です。

まとめ

『腐り姫〜euthanasia〜』は、特異なテーマと深い人間ドラマを融合させた作品として、多くのファンを魅了し続けています。エモーショナルなストーリーと独特なビジュアルは、プレイヤーに新しい体験を提供することに成功しています。この作品は、単なるアダルトゲームを超え、心理的な探求と官能の交差する舞台となっています。

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