腐食都市

腐食都市の魅力とその物語

概要

『腐食都市』（ふしょくとし）は、[テーブルトークRPG]『アルシャード』のリプレイ作品であり、初めて登場したのは2003年に発売されたサプリメント『オン・ユア・マインド』です。その後、2011年に『悠久の地平』の合本として刊行され、エンターブレインからもリリースされました。本作は、中村知博（現在の名は中村やにお）がゲームマスター（GM）として活躍し、リプレイを執筆しています。

本作は『アルシャード』のルール第一版に基づきつつ、中村の加筆と鈴吹太郎による注釈が加えられています。プレイヤーが操作するキャラクター（PC）は高レベルに設定され、わずか2人のプレイヤーで進行するという斬新なアプローチが特徴です。このリプレイは、単独のシナリオではなく、前述のサプリメントにおける他の作品と並ぶ形で、多様な遊び方の提案をしています。

ストーリー

物語の中心人物であるディーン・スキールニルは、「銀光（シルバーブレイド）」という異名を持つ剣客。その背景には、相棒のユーリを失った過去があり、心の傷を抱えつつも、運命の仕事を受け入れる決意を固めます。依頼人であるグラーフ・シュペーは、ディーンにエイリアス再生技術を盗むことを命じます。これに挑むディーンは、ダイナミックな戦闘を伴う冒険へと踏み出すこととなります。

物語は、ディーンが強固な警備を突破し、目的の地であるアルファイ＝ヤコブの教会ブロックへと進むところから始まります。そこには、警備責任者である女性士官、ヘイゼル・ベルンラインが立ちはだかります。彼女はディーンとの因縁もあり、単なる敵ではない複雑な背景を持つキャラクターでもあります。

キャラクターたち

ディーン・スキールニル

ディーンはサムライ、スカウト、ファイターのマルチクラスを持つキャラクターで、当初レベルは17に設定されています。彼の技術には多彩な剣技が含まれ、時には敵を一瞬で葬り去る力を秘めています。過去のトラウマを乗り越え、物語の中で成長していくディーンの姿は、プレイヤーにとって感情移入を促す要素です。

ヘイゼル・ベルンライン

一方、ヘイゼルはエイリアスに変えられた過去を持ちながら、娘のクリスチアーネを守るために強い責任感を抱く女性士官です。ディーンとの関係と相互の因縁が物語の核心に大きな影響を与えています。彼女は魔法の力を駆使し、戦闘においても非常に強力な存在です。

用語解説

本作では、「エイリアス」という技術が重要な位置を占めています。エイリアスはいわゆるヒトクローンで、これにより物語の緊張感やキャラクターの過去が強調されています。アルファイ＝ヤコブという都市自体も、強酸性の雨が降り注ぎ、特異な状況下での人々の生活を反映した場所です。この背景設定も、物語の深みを増す要因となっています。

結論

『腐食都市』は、緻密に設計されたキャラクター、考え抜かれたストーリー、そして新しいプレイスタイルが融合した作品です。プレイヤーたちは魅力的な世界観の中で、さまざまなドラマを体験できることでしょう。特に高レベルのプレイヤーキャラクター同士の対立や、少人数での繊細な物語運びは、他のTRPGリプレイと一線を画す魅力をもたらしています。

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