膠遼官話

膠遼官話は、中国語の北方方言である官話の一種で、山東省の煙台市から青島市にかけての地域と、さらに北の遼寧省南部の大連市や丹東市、そして吉林省の鴨緑江や黒龍江省のウスリー川流域にまで分布しています。

この方言は、19世紀後半以降に「闖関東」と呼ばれる大規模な人口移動が起きた結果、形成されたと考えられています。この時期に、多くの山東省の人々が満洲（現在の中国東北部）へと移住し、その過程で彼らが話していた方言がこの地域に広まりました。

膠遼官話は、中国東北地区で主に話されている東北官話とは異なる特徴を持っています。特に、遼寧省の省都である瀋陽市を中心とする地域で話される東北官話とは、明確な違いが見られます。

「膠」という名前は、青島市とその周辺地域を指す略称、または山東半島の別名である「膠東半島」に由来しています。この地域は、膠遼官話が話される中心的なエリアの一つです。

膠遼官話の代表的な方言としては、煙台方言、大連方言、そして威海方言が挙げられます。これらの地域の方言は、膠遼官話の特徴をよく表しているとされています。

膠遼官話は、さらに下位の方言に分類されます。主なものとして、以下の３つの区分が挙げられます。

登連片: 登州（現在の蓬莱市周辺）と大連市周辺の方言を指します。
青莱片: 青島市と莱州（現在の莱州市周辺）の方言を指します。
営通片: 営口市と通化市周辺の方言を指します。

これらの下位方言は、それぞれ微妙な違いを持ちながらも、膠遼官話という大きな枠組みの中で共通の特徴を共有しています。

膠遼官話は、中国の言語多様性を理解する上で重要な方言の一つであり、その歴史的背景や地理的分布を学ぶことは、中国の文化や社会をより深く理解することに繋がります。

参考項目：

中国語
官話
東北官話
北京語・北京官話
冀魯官話
* 西南官話

もう一度検索