膳城

膳城（ぜんじょう）

膳城は、群馬県前橋市粕川町に存在した室町時代から戦国時代にかけての平山城です。この城は群馬県に指定された史跡であり、歴史的な価値とともに地域の民俗の一部として重要な存在となっています。

構造

膳城は、兎川とその支流である童子川に挟まれた棚状の丘陵地に位置し、紡錘形の構造を持っています。南北500メートル、東西250メートルに広がり、別城一郭という特異な構造も特徴的です。地形を巧みに利用した城であることが、その戦略的な位置を際立たせています。

歴史

膳城は、三善康信の子孫である善氏の居城でした。築城は15世紀中頃と考えられており、長享元年（1487年）にはすでにその存在を確認できます。城は文明12年（1480年）頃に佐野昌綱によって落城しましたが、城主の善三河守は横瀬業繁の協力を得て再び城を取り戻しました。以後、由良氏（横瀬氏）の影響下に入ることになります。

永禄5年（1562年）、上杉方に降伏し、元亀3年（1572年）には善宗次が上杉謙信の下野国の小俣城攻めに参加中に討死しました。彼の子供である春松丸が後を継ぎますが、反撃してきた北条軍によって膳城は再び落城。春松丸は厩橋へ逃げることになり、これにより膳氏は勢力を失いました。

天正2年（1574年）には上杉方に占拠され、木戸忠朝が城主となります。さらに、天正6年（1578年）には上杉謙信の死去により後北条氏に属し、城主に河田備前守が就任しました。天正8年（1580年）には、武田勝頼が上杉景勝を支持し、厩橋城を制圧しました。この際、膳城の守兵らが酒宴を開いており、武田軍を目撃した者が興奮し、攻撃を行った結果、武田軍の反撃を受けて膳城は再び落城。その後、城は廃城となりました。

現在

現在の膳城址の大部分は住宅地となっていますが、戦後、膳氏の末裔である膳桂之助が本丸周辺を購入し、県に寄付したため、本丸と二ノ丸は1949年（昭和24年）に県指定史跡として認定され、城址公園として整備されました。さらに、本丸北側の北郭跡には粕川歴史民俗資料館や粕川出土文化財管理センターが設立され、地域の文化と歴史を伝える拠点となっています。

膳城は、歴史的な背景を持ちながらも、現代においてもその遺構を生かした形で地域に貢献している、まさに時代を超えた価値を有する遺産と言えるでしょう。

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