臥龍山荘

臥龍山荘の概要

臥龍山荘（がりゅうさんそう）は、愛媛県大洲市にある歴史的な山荘であり、国から名勝に指定された美しい庭園が特徴です。その歴史は1897年に遡り、木蝋の輸出で成功を収めた貿易商の河内寅次郎がこの地を購入したことに始まります。彼は、京都の茶室建築家である八木甚兵衛を相談役として迎え、施工は大洲藩作事方の家系を引き継ぐ大工棟梁・中野虎雄が担当しました。約10年の構想を経て、施工には延べ9000人もの人手がかかり、漸く明治40年（1907年）に完成しました。

臥龍山荘は、臥龍院（がりゅういん）、不老庵（ふろうあん）、知止庵（ちしあん）という建物と、それらを囲む借景庭園から構成されています。ここからは冨士山（とみすやま）や肱川の美しい光景を楽しむことができます。昭和31年（1956年）には大洲市指定文化財に、昭和60年（1985年）には愛媛県の指定有形文化財に指定されました。さらに、2016年度には臥龍院、不老庵、文庫の三棟が国の重要文化財に認定され、その価値が認められました。

この名称の由来は、大洲藩主加藤泰恒が「蓬莱山が龍の臥す姿に似ている」と語ったことにあります。これが、「臥龍」という名の由来となっています。また、2011年5月には「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」において一つ星を獲得し、多くの注目を集めることとなりました。さらに、2018年には屋形船での臥龍淵と不老庵の光景が四国八十八景49番に選定され、観光地としても非常に魅力的です。

建造物の特徴

臥龍山荘の母屋である臥龍院は、数寄屋造りのスタイルで建設されており、その中でも特に清吹の間（せいすいのま）には、欄間の透かし彫りにより水の流れを表現する工夫がなされています。高い天井には屋久杉が用いられ、壱是の間（いつしのま）には桂離宮様式が色濃く反映されています。また、霞月の間（かげつのま）では、縁に仙台松の一枚板が使用されるなど、多彩な工芸技術が光ります。これらは1907年に完成し、京都の草木国太郎と中野虎雄によって施工されました。

知止庵は元々浴室として使用されていましたが、昭和24年（1949年）に茶室として改装されました。不老庵は風光明媚な肱川の臥龍淵の崖の上に立ち、数寄屋造りで生きた槙の木を捨て柱として利用しています。この建物は1901年に完成しました。

庭園内には、飛石が配置され、石臼やてまり石がそのまま嵌め込まれています。槙、榎、楓などの樹木が生い茂り、珍しい種類の苔も見られます。これらの美しい景観は、訪れる人々に静かな癒しを提供しています。

現地情報

臥龍山荘へは、JR四国予讃線の伊予大洲駅から徒歩約20分でアクセスできます。観覧時間は午前9時から午後5時までで、休館日は12月29日から31日です。観覧料は大人550円、小人220円で、大洲城との共通観覧券も用意されています。また、保護者同伴の5歳以下は無料で入館でき、市内在住の高齢者や障害者手帳を所持する方とその付添い者は無料です。団体割引もあり、20名以上のグループには特別な割引が適用されます。

関連項目

臥龍山荘周辺には、大洲城や肱川、冨士山、おおず赤煉瓦館、おはなはん通りなどの観光名所があります。愛媛県内の文化財一覧にもその名が刻まれており、地域の文化と歴史を深く知るための重要なスポットと言えるでしょう。

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