苔

コケとは

コケは、地表や岩の上を這うように広がる植物的なものの総称です。狭義には、コケ[[植物]]と呼ばれる苔類、蘚類、ツノゴケ類のグループを指しますが、広義には、菌類と藻類の共生体である地衣類や、一部の小型維管束植物や藻類も含まれます。コケの語源は「木毛」にあるという説があり、元々は樹の幹などに生える小さな植物の総称でした。

コケの鑑賞と園芸

コケは、日本庭園や盆栽で古くから鑑賞されてきました。特に、地面一面に苔が生える西芳寺（通称：苔寺）や、多くの苔が自生する奥入瀬渓流、白谷雲水峡などは、観光地として人気があります。これらの場所は、白駒の池と合わせて「モスツーリズムの三大聖地」と称されることもあります。

また、コケは屋上[[緑化]]にも利用されています。在来種を生かせるだけでなく、軽量で管理の手間が少ないという利点があるためです。

庭園づくり以外にも、コケは単独で、あるいは他の植物と一緒に、盆栽や苔玉として栽培されます。日本では約1700種のコケが生育しており、中にはガラス瓶内で栽培できる種類もあり、苔テラリウムとして楽しまれています。

コケの実用

ミズゴケ類は吸水性・保水性に優れているため、かつては梱包材やスポンジ、脱脂綿の代用として、また女性の生理用品や止血剤としても利用されてきました。

コケの育て方

コケ[[植物]]は、胞子による有性生殖のほかに、「無性芽」と呼ばれるクローンを作るための芽による無性生殖も行います。コケは乾燥には強いですが、高温多湿には弱いという性質を持っています。

夏の暑い日中の水やりは、コケを蒸らして生育を阻害してしまうため避けるべきです。コケは夏が苦手で冬に強いので、秋に植え付けて春までに大きく育てるのがおすすめです。直射日光の当たる場所では弱ってしまうため、半日陰（木漏れ日の当たる場所）で育てると良いでしょう。

コケを育てる際のポイント

水やりは夕方にたっぷりと行う
水はけの良い状態にする
風当たりの強い場所は避ける
落ち葉を取り除く（光合成を妨げるため）

コケと名のつく生物

小型の植物は、しばしば「コケ」という名前が付けられます。蘚苔類だけでなく、地衣類にも「○○ゴケ」という和名が用いられます。その他にも、以下のような例があります。

種子植物：ウサギゴケ、コケオトギリ、コケサンゴ、コケミズ、サギゴケ、モウセンゴケ
シダ[[植物]]：ウチワゴケ、クラマゴケ、コケシノブ
動物：コケムシ、ハナゴケ（刺胞動物）

また、アクアリウムなどの水槽内につく藻類も「コケ」と呼ばれることがあります。

コケを用いた表現

「苔」という漢字が日本に伝わった当初は、主に藻を指す言葉として用いられ、コケについては「蘿」という漢字が当てられた歌もあります。コケは、岩や地面が長く放置された時に生え、耕されるなどの攪乱があると育たないと考えられています。「苔むす」という言葉は、その状態が長く続いていることを意味します。岩に苔が生える様は、悠久の時間を表すものとして、日本の国歌「君が代」の歌詞にも登場します。

「転石苔むさず」という言葉は、西洋のことわざ「A rolling stone gathers no moss.」の訳語であり、二通りの解釈があります。一つは「転々と職業や住居を変える人は、成功できない」という意味で、もう一つは「絶えず活動している人は、常に清新でいられる」という意味です。イギリスでは一般的に前者の意味で使われますが、アメリカでは後者の意味で使われることが多いです。

古い墓石についた苔を掃除するという意味で、墓参りや墓掃除を「掃苔（そうたい）」と呼ぶことがあります。

苔の花言葉は「母性愛」「信頼」「孤独」「物思い」です。

苔に由来する色としては、モスグリーン（苔色）やモスグレー（モスグレイ）があります。黄褐色と緑の中間色で、色味が若いものが前者、灰色が強いものが後者と区別されます。

その他

関連項目：舌苔、君が代、KOKEくん（苔がモチーフのキャラクター）、西芳寺（苔寺）、苔の三大聖地（奥入瀬渓流、白駒の池、白谷雲水峡）
* 外部リンク：今、熱い植物「コケ（苔）」、コケ図鑑

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