臨時台湾戸口調査

臨時台湾戸口調査について

臨時台湾戸口調査（りんじたいわんここうちょうさ）は、日本統治時代の台湾において実施された重要な人口動態調査です。この調査は、1905年（明治38年）に第一回、そして1915年（大正4年）には第二回が実施されました。これらの調査は、日本政府が台湾を統治するための基盤を築く目的で行われました。

1. 調査の必要性と背景

日本が台湾を統治する過程では、土地の状況や住民の属性、社会関係を把握する必要がありました。これを実現するため、台湾総督府は「土地調査」「臨時台湾戸口調査」「臨時台湾旧慣調査」という三つの主要な調査事業を計画しました。これにより、台湾の社会構造や人々の生活を総合的に理解することが目指されました。

2. 調査準備の段階

調査のための準備は綿密に行われました。1903年9月には、「台湾総督府統計講習規程」が制定され、その後、台湾で統計実務を行う人材を育成するための講習会が開催されました。これは、日本本土と類似の慣行であり、地方官庁でも次々と講習会が実施されました。ただし、当初の講習会の参加者はほとんど日本人官吏であり、彼らは実地調査を行うにあたり、異なる民族グループに対する理解を深める必要がありました。

1905年7月には、調査を担当する各地方庁の警務課長や総務課長が集まり、調査内容についての質疑応答を行いました。この結果は、「臨時台湾戸口調査諸法規問答録」に記録され、漢人や「蕃」人との関係、日本人と漢人の関係など、多岐にわたる質問が収められています。

3. 実施段階の重要性

臨時台湾戸口調査の第一回は、日本本土での初国勢調査と同じ1905年10月1日に計画されました。日本本土の調査は日露戦争の影響で延期されましたが、臨時台湾戸口調査は予定通り実施されました。この調査の現場では、1000名以上の現地住民が調査委員と共に通訳として参加し、日本人官吏と協力して作業が行われました。

第二回の調査は、10年後の1915年に実施され、これにより日本統治下の台湾における人口動態の詳細なデータが集積されました。

4. 参考文献と関連項目

臨時台湾戸口調査についての詳細は、佐藤正広による「調査統計の系譜-植民地における統計調査システム」が掲載されている『岩波講座『帝国』日本の学知（第6巻）地域研究としてのアジア』を参考にすることができます。　

この調査に関連して、児玉・後藤政治、土地調査事業、臨時台湾旧慣調査会などの項目も考察することで、台湾の歴史をより深く理解することができるでしょう。

もう一度検索