佐藤正広

プロフィール

佐藤正広（さとうまさひろ）は、1955年生まれの日本の経済学者です。東京外国語大学大学院国際日本学研究院の特任教授であり、一橋大学の名誉教授でもあります。専門は近代日本社会経済史で、特に明治・大正期の統計調査制度が日本社会にどのように受け入れられたか、またその結果として、統計データの精度にどのような問題が生じたのかという点に着目した研究を行っています。

学歴

1977年3月、埼玉大学経済学部経済学科を卒業。その後、一橋大学大学院に進学し、1979年3月に経済学研究科博士前期課程を修了しました。さらに研究を深め、1985年8月には同大学院社会学研究科博士後期課程を単位取得退学しています。

職歴

1985年9月、一橋大学経済研究所附属日本経済統計情報センターの専任講師として研究者としてのキャリアをスタートさせました。1989年2月には同センターの助教授に昇任。2002年4月には、一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センターの助教授となり、翌月には教授に就任しました。

2018年3月に一橋大学を定年退職。同年4月には一橋大学名誉教授の称号を授与され、一橋大学経済研究所社会科学統計情報研究センターの特任教授に就任しました。2019年4月からは、東京外国語大学大学院国際日本学研究院の特任教授、および一橋大学経済研究所の非常勤研究員として、研究活動を継続しています。

学位

2002年11月、一橋大学より博士（経済学）の学位を授与されました。学位論文は「国勢調査と日本近代」です。

研究内容

専門は日本経済史、特に近代日本社会経済史です。研究の中心テーマは、明治から大正期にかけての統計調査制度が日本社会にどのように導入され、それがどのように受容されたかです。また、その結果として、日本で作成された統計データの精度にどのような問題が生じたのかを詳細に分析しています。統計データと歴史的視点からのアプローチによって、日本経済史における重要な側面を解明しようとしています。

主な著書

『栃木県那須郡武茂村・境村行政資料目録（解題：大正期地方官庁による産業統計調査　―栃木県統計書の編纂をめぐって）』、佐藤正広編、統計資料シリーズ49、一橋大学経済研究所附属日本経済統計情報センター、1998年
『国勢調査と日本近代』一橋大学経済研究叢書51、岩波書店、2002年
『帝国日本と統計調査－統治初期台湾の専門家集団』一橋大学経済研究叢書60、岩波書店、2012年
『国勢調査日本社会の百年』（岩波現代全書）、岩波書店、2015年

主な論文

「明治前期の地域経済―1890年富山県の場合」, 『経済研究』, 一橋大学経済研究所編, 岩波書店, 37, 1986
「明治期地方知識人の経済思想―加工統計「越中生産」の推計方法と精度の検討」, 『一橋論叢』, 98(3), 1987
「明治期生産統計における自給的農産物の取扱いについて―明治39・40年「富山県経済的民力調査」を素材として」, 『経済研究』, 一橋大学経済研究所編, 岩波書店, 38(4), 1987
「戸数割税務資料の特性と精度について」, 『経済研究』, 一橋大学経済研究所編, 岩波書店, 43(3), 1992
「初期国勢調査の諸問題―農村住民「イエ」意識と職業調査：広島県下の事例」, 『経済研究』, 一橋大学経済研究所編, 岩波書店, 48(1), 1997
「『人口大調査』から『国勢調査』へ―国勢調査の基本設計をめぐる明治期の論議」, 『一橋論叢』, 117(6), 1997
「郡是・市町村是資料そのなりたちと評価」, 『「郡是・市町村是資料マイクロ版集成」目録・解題』,（一橋大学経済研究所附属日本経済統計情報センター編）, 丸善, 1999
「かいま見た中国近現代統計学の教科書から」, 『Ｎews　Letter　近現代東北アジア地域史研究会』, 11, 1999
「明治期地方レベルの統計講習会―統計データの生産者たち」, 『経済研究』, 51(3), 2000
「ちがさきの統計6『住宅都市』の誤算　―高度経済成長期の人口推計と現実の趨勢」, 『茅ヶ崎市史研究』, 25, 39-50, 2001
「人口センサスの始動―その歴史的環境」, 『環』, 藤原書店, 26, 2006
「台湾統治初期の地方行政：「臨時台湾戸口調査」はいかなる状況の下で実施されたか」, 『経済志林』, 法政大学経済学会編, 73(4), 2006

共著

松田芳郎・佐藤正広・有田富美子, 「明治後期の工場生産―動力機と経営形態の分析」, 『一橋論叢』, 92(3), 1984
尾関学・佐藤正広,「戦前日本の農家経済調査の今日的意義 -農家簿記からハウスホールドの実証研究へ」,『経済研究』 59(1), 59-73, 2008

書評

「『近代日本の商品流通』山口和雄・石井寛治編」, 『経済研究』, 一橋大学経済研究所編, 岩波書店, 38(4), 1987
「『戦前期産業連関構造の変化に関する数量的研究―産業連関分析による接近』新谷正彦」, 『経済研究』, 一橋大学経済研究所編, 岩波書店, 42(1), 1991

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