自動惑星検出望遠鏡

自動惑星検出望遠鏡 (APF) : 地球型惑星探査の先駆者

カリフォルニア州サンノゼ近郊のリック天文台に設置された自動惑星検出望遠鏡(APF)は、地球型太陽系外惑星の探索を目的とした2.4m口径の全自動光学望遠鏡です。別名Rocky Planet Finderとも呼ばれ、その名の通り、地球サイズの岩石惑星を発見することに焦点を当てています。

APFは、主としてドップラー分光法を用いて系外惑星の存在を探査します。恒星のわずかなふらつきを精密に測定することで、その周囲を公転する惑星の重力による影響を検出するのです。この技術を用いて、APFは1晩におよそ10個の恒星を観測し、10年間にわたって1000個もの近傍の恒星を詳しく調査する計画です。その費用は総額1237万ドルにのぼります。

APFの開発は当初、2006年の完成を目指していましたが、主要部品の製造遅延により、ファーストライトは2013年8月までずれ込みました。しかし、完成後はその性能の高さを証明しています。APFに搭載されたKen and Gloria Levy Doppler Spectrometerは、秒速1mという極めて微小な恒星の速度変化を検出できる高い精度を誇り、HARPSやHIRESといった他の高精度分光器と肩を並べる性能を備えています。これは、ゆっくりと歩く程度の速度の変化を捉えることができる精度です。

APFの観測対象は、地球から約100光年以内にある恒星です。この範囲内に存在する惑星は、詳細な観測が可能で、大気組成の分析など、より詳細な研究へと繋がる可能性を秘めています。

APFの心臓部であるレビー分光器は、可視光領域(374-970ナノメートル)を観測し、最大でR=150,000という高い波長分解能を達成します。この分光器は、高精度視線速度測定のために最適化されており、3ヶ月間にわたる標準星の観測試験では、視線速度の二乗平均平方根で1m/sを下回る精度を実証しました。その設計は、マゼラン望遠鏡で使用されているPFS分光器、そしてさらに遡るとMIKE分光器をベースとしています。

APFによる観測成果も着実に出ています。2014年には、HD 141399という恒星の周囲を公転する4つの惑星(HD 141399 b、c、d、e)を発見しました。この発見には、APFの観測データに加え、HIRESによる観測データも用いられています。また、リック＝カーネギー系外惑星サーベイにおいても、APFのデータが活用され、グリーゼ687を公転するグリーゼ687bの発見に貢献しました。

APFの活動は、系外惑星の発見にとどまりません。この望遠鏡は、地球外文明からのレーザー信号探査にも使用されています。これは、ブレイクスルー・リッスンというSETI（地球外知的生命体探査）プロジェクトの一環であり、カリフォルニア大学バークレー校のSETI研究センターへの多額の資金提供を受けて行われています。宇宙における生命探査という壮大な目標に、APFは重要な役割を果たしているのです。

APFは、今後も継続して観測を行い、新たな系外惑星の発見、そして地球外生命探査への貢献が期待されています。その活動は、人類の宇宙への理解を深める上で、大きな一歩となるでしょう。

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