自然七度

自然七度の音程について

自然七度（しぜんななど）とは、音楽理論において特有の周波数比を持つ音程であり、具体的には7:4（約969セント）に相当します。この音程は「七の短七度」や「下短七度」とも称され、音楽のバックグラウンドとして存在する倍音列にその起源を持っています。自然七度は一般的に用いられる純正短七度（周波数比9:5、約1017.596セント）よりもわずかに狭く、音楽的にはより美しい響きを提供するとされています。

自然七度と倍音

自然七度の音程は、基音の2オクターブ上に位置する第4倍音と、第7倍音の間に形成されます。この特性から、自然七度は倍音列の結果として生まれた重要な音程であると考えられています。一部の楽器、特にナチュラル・ホルン（自然ホルン）では、この自然七度を16:9の比率で調整し演奏することが一般的です。このように、楽器の特性に応じて自然七度が利用される場面も多く見受けられます。

例えば、作曲家のベンジャミン・ブリテンの作品「テノール、ホルンと弦楽のためのセレナード」では、真の7倍音が取り入れられており、これが自然七度の特徴を引き立てています。

標記の方法

作曲家のベン・ジョンストンは、音程の微妙な変化を示すために独自のシンボルを使用しています。具体的には、音程が七の四分音（49セント）低い場合に小さい「7」を使い、逆に49セント高い場合には逆さまの「7」を記譜します。このため、自然七度はハ長調の文脈ではB♭の♭の上に「7」を記載して示されます。

バーバーショップ音楽における自然七度

特にバーバーショップ音楽では、属七の和音（自然七の和音）の協和が欠かせない要素として自然七度が用いられています。このスタイルにおいて、自然七度がもたらす響きは、特有の和声感を作り出し、歌唱における美しさを強調します。

また、自然七度は増六度と比べて七のクレイズマ（7.71セント、ピタゴラスコンマの約3分の1）だけ異なり、平均律の短七度よりも約六分音（約31セント）低いという特性があります。この音程を使用すると、属七の和音が持つ「完全五度への解決の必要性」が軽減され、時には「完全に解決した」和音としての役割を果たすこともあるのです。

結論

自然七度は、音楽の中で特異な音程として存在するだけでなく、特にバーバーショップ音楽や特定のクラシック作品において不可欠な要素として機能しています。その豊かな響きや美しい質感は、音楽を演奏し、楽しむ上での魅力を増しており、音楽理論においても重要な位置付けとなっています。

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