自由民主同盟

ハンガリー自由民主同盟（SZDSZ）：体制転換期から解党まで

ハンガリー自由民主同盟（Szabad Demokraták Szövetsége, SZDSZ）は、1988年に結成されたリベラルな中道左派政党でした。自由主義インターナショナルにも加盟しており、当初は強力な反共主義を掲げていましたが、後に社会自由主義的な傾向を強めていきました。ドイツの自由民主党とは異なり、イギリスの自由民主党やカナダ自由党に近い政治的スタンスを取っていました。

結成と台頭

SZDSZは、共産主義体制下での民主的反体制派によって1988年11月に結成されました。1956年ハンガリー動乱の関係者や、共産主義体制下の冤罪裁判の犠牲者の子孫、反体制運動に関わった作家や知識人などが中心メンバーでした。ハンガリー民主フォーラム（MDF）が国民派・農民派の支持を集めたのに対し、SZDSZは都市部の知識層からの支持を多く獲得しました。

体制転換期には、反共主義を鮮明に打ち出し、青年民主同盟（Fidesz）とも協力関係を築きました。1990年の総選挙では、第二党となり最大野党の座に就きます。MDF政権による安定的な国会運営のため、SZDSZとの協定が結ばれ、初代大統領にグンツ・アールパードが選出されました。

しかし、その後SZDSZ内部では、保守リベラリズムを支持する地方党員と、新左翼的なブダペストの知識人との対立が表面化しました。最終的には新左翼的な勢力が優勢となり、MDF政権との対立を強め、社会党との連携を深めていくことになります。

社会党との連立と衰退

1994年の総選挙では、社会党の大勝を許しますが、社会党から連立政権への参加を要請され、過去の反共主義的な立場を転換して連立に加わります。その後も、2002年と2006年の総選挙で社会党と連立を組みました。しかし、反共主義からの転換に失望した支持者の離脱や、党内における様々な対立により、支持率は徐々に低下していきました。

2008年には保険制度を巡る対立から社会党との連立を解消。党内では虚偽の選挙行動が発覚し、党首再選が行われましたが、支持率の回復には至りませんでした。2009年の欧州議会議員選挙では、議席獲得に必要な得票率に届かず全議席を失い、党首を含む幹部が辞任に追い込まれます。2010年の総選挙でも議席獲得に失敗し、2013年10月には正式に解党しました。

政治的立場と支持基盤

SZDSZは、ブダペスト市や、企業幹部、経済学者、メディア関係者、文化関係者からの支持が厚かったです。体制転換期にはMDFと都市部知識層の支持を二分していましたが、社会党との連立後は、左翼政党としての性格が強まりました。社会党もネオリベラリズム政策を進めていたため、SZDSZは社会党の補完政党としての役割を果たす側面がありました。後期には、同性愛者の権利擁護、妊娠中絶や安楽死の容認、軽度の麻薬の非犯罪化などのリベラルな政策を主張していました。

主要な選挙結果

（具体的な選挙結果のデータは、参考文献などを参照してください。）

参考文献

* 在ハンガリー日本大使館　「政治・経済月報」

SZDSZは、ハンガリーの体制転換期に重要な役割を果たした政党でしたが、その後は社会党との連立を通じてその影響力を失っていき、最終的には解党という道を辿りました。その歴史は、ハンガリーの民主化と政治変遷を考える上で重要な事例と言えるでしょう。

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