自由浮遊惑星

自由浮遊惑星とは

自由浮遊惑星、または浮遊惑星（rogue planet）とは、惑星程度の質量を持ちながら、恒星や褐色矮星のような天体に重力的に束縛されず、銀河を直接公転する天体のことです。これらの天体は、惑星系が形成される過程で、他の天体との重力相互作用によって弾き出されたと考えられています。2004年以降、複数の候補天体が発見され、2021年には、へびつかい座の星形成領域で少なくとも70個の木星質量程度の自由浮遊惑星が発見されました。現在では、銀河系には数兆個の自由浮遊惑星が存在するという推測も出ています。

自由浮遊惑星の形成と分類

自由浮遊[惑星]]の一部は、恒星と同じようにガス雲の重力崩壊によって形成されたと考えられています。国際[[天文学連合]]は、このような天体を「準褐色矮星]」と呼ぶことを提案しています。また、これらの[[惑星質量天体に対して「プラネター(Planetary mass object, planemo)」という名称も提案されましたが、天文学界全体では広く受け入れられていません。

自由浮遊惑星の熱源と生命の可能性

1998年、理論天文学者デビッド・スティーヴンソンは、恒星間空間を漂う惑星質量天体でも、放射熱によって薄い大気を凍らせずに保持できる可能性を理論的に示しました。大気中の水素が遠赤外線放射を吸収することで熱を閉じ込め、液体の水が存在しうる温度を保てると考えられます。また、惑星内部の放射性同位体の崩壊による地熱も、地表を温める要因となります。

このような自由浮遊惑星には、液体の水が存在する海を持つものも存在する可能性があり、さらに長い間活発な地質活動を維持し、生命の誕生に必要な磁気圏や海底火山を持つ可能性も指摘されています。ただし、これらの惑星からの熱放射は非常に微弱なため、観測による発見は困難を極めます。

また、惑星が恒星系から弾き出される際、衛星を保持したまま放出される可能性も示唆されています。大きな衛星は潮汐加熱の源となり、惑星にさらなる熱を与える可能性があります。

自由浮遊惑星と原始[[惑星]]

近年、褐色矮星の周りに塵の円盤を持つ太陽系外[[惑星]]が多数発見されています。もし、恒星間空間に存在する大きな天体の一部が準褐色矮星であるならば、これらの塵の円盤は原始[[惑星]]の可能性があります。この場合、自由浮遊惑星を惑星と定義すると、塵の円盤は衛星ということになります。

自由浮遊惑星を題材にしたフィクション作品

自由浮遊惑星は、その特異な存在からSF作品の題材として頻繁に登場します。

フィリップ・ワイリーの小説『地球最後の日』: 2つの自由浮遊惑星が地球に衝突する物語。
テレビ映画『アースフォール 地球壊滅』: 自由浮遊惑星の接近によって地球が破滅的な状況に陥る様子を描く。
ポール・アンダースンの小説『Satan's World』: 「rogue planet」という用語が初めて用いられた作品。
『宇宙大作戦』のエピソード「ゴトス星の怪人」: 超人類が住む自由浮遊惑星を舞台とする。
『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』: 創設者の母星が、星雲の中の自由浮遊惑星である。
『スタートレック:エンタープライズ』: 地球に似た大気を持つ自由浮遊惑星を発見するエピソード。
『スター・ウォーズ・シリーズ』: 小説『ローグプラネット』に登場するゾナマ・セコートという自由浮遊惑星。
『スペース1999』: 核廃棄物の爆発によって軌道を外れ、自由浮遊惑星となった月を題材とした作品。
『ドクター・フー』: サイバーマンの故郷モンダスは、地球の双子星で、軌道を外れた後に帰還したという設定。
ゲーム『メトロイドプライム2 ダークエコーズ』: サムス・アランが自由浮遊惑星エーテルを訪れる。
『太陽の盾』： 太陽系に衝突し、太陽嵐の原因となった巨大ガス惑星が描かれている。
『宇宙戦艦ヤマト』: バラン星という自由浮遊惑星にガミラス帝国の基地があるという設定。
* 『メランコリア』: 自由浮遊惑星が地球に衝突する様子を静謐に描いている作品。滅亡の日、鬱病患者は精神が安定する一方、健常者は精神が崩壊するという設定が特徴。

まとめ

自由浮遊惑星は、その特異な性質から多くの研究者やSF作家の興味を引いています。惑星形成の過程や生命の可能性など、未解明な部分が多く残されており、今後の研究が期待されます。

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