自臭症

自臭症とは

自臭症（じしゅうしょう）は、自己の体臭や口臭に対する極度の不安感を抱え周囲からの評価に過剰に反応する神経症の一つです。この状態は、自己臭症や自己臭恐怖症とも呼ばれ、精神的な疾患の一種であり、周囲から自分が嫌われているという思い込みから日常生活が困難になることがあります。精神医学上の明確な診断名ではありませんが、対人恐怖症の一部の特徴を含んでいます。特に、人の外見や臭い、表情、しぐさが他者に不快感をもたらすのではないかという恐れから症状が引き起こされるため、社会的な場面での不安感が増大します。

原因

自臭症は、主に病前性格が影響しています。几帳面で潔癖な性格を持つ人々がこの症状に陥ることが多く、他者から口臭や体臭を指摘されたことをきっかけに、自分から発せられる匂いに対する過剰な不安を抱くようになります。また完璧主義や完全主義が強い人はこの症状にかかりやすいと言われています。

人間は誰しも少なからず体臭や口臭を持っていますが、自臭症の人はこれを過度に解釈し、わずかな臭いも受け入れられなくなります。また、この症状はしばしば身体醜形障害やうつ病などの精神的な病状と併発することがあり、全体としては強迫性障害の一形態と見ることができるのです。自臭症の特徴的な点は、実際の臭いよりも本人の心理的要因とその悩みが強く影響することです。

症状

自臭症の主な症状には、実際には存在しない自分の臭いが周囲に不快感を与えているのではないかという妄想があります。このため、他人の動作（咳や鼻をかむなど）に過剰に反応してしまうことがあり、結果的に対人恐怖症と密接に関連しています。

このような恐怖感は、日常生活に大きな影響を及ぼし、特に密集した場所や公共交通機関、人との会話などでの不安が増加します。症状が悪化すると、社会生活から逃避する傾向が見られます。

治療法

自臭症は主に精神的な原因に起因するため、治療は面接療法が基本となります。重要なのは、本人が自分の臭いが他人に迷惑をかけていないことを認識することです。また、自身の実際の臭いと悩んでいる事実との食い違いを修正するために、認知療法が有用です。

さらに、恐怖を感じる場所にあえて身を置き、少しずつ恐怖を取り除く暴露療法も効果的とされています。根本的には完璧を求める思考が関連するため、少量の臭いは当然であるという心のゆとりを持つことが重要です。

森田療法を通じた「流れる心」を持つことも重要で、少しの欠点を受け入れることが必要です。対人恐怖症とも関係するため、精神療法や思考の改良も期待できます。

診療科

この症状は精神科で治療されるほか、心療内科や口臭の評価を行うための専門外来が設置されている場合もあります。精神的な支援とともに、周囲の人々の協力が求められるケースも多く、家族や看護師などから「私、臭いがする？」と尋ねることで自信を取り戻す手助けが行われることもあります。実際に、他者が自身の臭いをどう感じているかを理解することは、症状の軽減に繋がることがあります。

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