自費養成力士

自費養成力士について

自費養成力士（じひようせいりきし）とは、かつて日本相撲協会において養成費の支給を受けていない力士のことを指します。この制度は、相撲部屋の師匠にとって大変重要なものでしたが、実際には不支給の決定によって力士本人や師匠に厳しい選択を強いるものでした。日本相撲協会からの養成費が支給されない以外は、彼らは他の力士と同じく番付や取組の編成において平等に扱われていました。

制度の開始と背景

自費養成力士制度は1956年1月場所から始まりました。新弟子検査において、体格検査に不合格となった力士が対象で、彼らは前相撲を取ることが許可され、再検査を受けて合格するか幕下に昇進するまで、養成費が支給されない形となりました。この制度を利用し、後に関取に昇進した力士には、横綱・北の富士勝昭や前頭筆頭・浅瀬川健次が含まれています。

しかし、1957年にはこの制度は廃止され、新弟子検査で不合格となった者が前相撲に進む道が閉ざされました。

人員削減制度の導入

1957年5月場所からは人員削減制度が導入されました。この制度は、初土俵から5年を経て幕下に昇進できなかった力士を対象にしており、実質的な引退勧告の意味合いを持っていました。しかし、大器晩成の可能性があるため、当該力士とその師匠の希望があれば現役を続行することも可能でした。この制度施行を経て、初土俵からの場所数は変わり、1957年11月の九州場所からは通算25場所、1958年1月場所からは年6場所制が施行された結果、通算30場所となりました。

この「人員削減」という表現は協会内部で使われましたが、報道などでは「足切り」と形容され、さらに後年には「定年制度」とも呼ばれるようになりました。このような制度導入の背景には、1957年3月に衆議院予算委員会で社会党衆議院議員の辻原弘市が相撲協会を公益法人でありながら興行的と指摘したことが影響しています。

4月の文教委員会では、協会の理事たちが迅速な改革を求められ、時津風理事長は「冗員の整理」を掲げるなどしました。この改革によって1957年5月場所では、多くの廃業者が出ました。

制度の廃止

最終的にこの人員削減制度は1967年3月場所限りで廃止されました。これ以降、相撲協会において成績不振を理由とした引退勧告の制度は設けられていないため、当時の状況は大きく変化しました。また、1967年5月場所では幕内と十両の人数削減が行われ、さらなる番付の再編成がなされました。

このように、自費養成力士制度とその取り巻く状況は、相撲界における様々な改革や変遷を反映しており、多くの力士たちにとっての道を大きく左右するものでありました。

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