臼井幾蔵

臼井 幾蔵（1857年 - 1935年）

臼井幾蔵（うすい いくぞう）は、明治から昭和にかけて日本の医療界で活躍した医師です。彼は安政4年（1857年）、鳥取県八上郡本角村（現在の鳥取市河原町）で出生しました。旧姓は田淵です。彼の家庭は代々医業を営む家系で、幼少期から学問に優れていました。

学問と医療の道

幾蔵は、鳥取在住の医師・田淵養玄の二男として育ち、学問に秀でた才能を発揮しました。若いころには、福岡県の円浄寺に住む僧侶から漢詩を学ぶ一方で、将来の医師としての基礎を築くため、鳥取の外科医・黒川樹平に師事し医学の知識を深めました。1884年に医師開業試験に合格し、小畑で医業を始めましたが、その後、実家である臼井家の家業を引き継ぎ市場で診療を行いました。

医師としての活躍

幾蔵は性格は厳格でしたが、西洋医学の進歩を常に取り入れ、新しい医療器具や技術を積極的に活用して診療にあたりました。特に外科手術においては、その才能を発揮し、多くの患者から信頼を寄せられました。開業した初期には壊疽の患者に対して大腿切断術を行い、地域の人々を驚かせたと伝えられています。また、彼は小学校医や信用組合評議員としても活動し、地域医療や政治面でも影響を持ちました。

幾蔵は医師としての職務に専念する一方、家庭人としても大切な役割を果たしました。彼の二男・宗の妻は、元鳥取県知事である石破二朗（政治家石破茂の父）の姉です。

家族と家系

臼井家は元々高田姓を名乗り、代々医師の家系として名を馳せてきました。家系図によれば、彼の家族は代々八東郡下私都村で医療に従事し、藩に仕えて御殿医としても知られていました。幾蔵の父・宗順は、温厚で篤実な性格から周囲に信頼され、特に内外科や産科において多くの門弟を育てました。

幾蔵の家族には医師として活躍した長男・健吉がいます。彼は父に医学を学び後に大阪で研修を受けましたが、24歳で早逝しました。また、二男の宗は教育者として丹比小学校の校長を務め、地域の教育にも貢献しました。その妻の里喜は、元鳥取県知事石破二朗の姉として名の知られています。

晩年と死去

昭和10年（1935年）1月、幾蔵は77歳でこの世を去りました。彼の生涯は、医師としての貢献だけでなく、その家庭や地域社会における影響力からも評価されるべきものです。彼の遺した業績は、地域医療に対する理解と推進に大いに寄与しました。彼の家系は今もその伝統を引き継ぎ、医療の分野で活動を続けています。

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