興津 (砲艦)

興津（おきつ）

「興津」は日本海軍が運用していた砲艦で、元々はイタリア海軍のアツィオ級敷設艦「レパント」として知られていました。本艦の名は静岡県静岡市清水区にある景勝地「興津」に由来しています。

艦歴

レパント

「レパント」は1927年5月22日にイタリアのアンコナで進水し、1933年には上海に到着しました。その後は砲艦として使用されていましたが、イタリアが降伏すると1943年9月9日に上海で自沈しました。

興津

続いて、日本海軍はこの艦を1943年11月8日に浮揚し、1944年3月1日には「興津」と命名しました。この時、艦は佐世保鎮守府に所属し、上海根拠地隊に加わりました。江南造船所での艤装改装と修理工事によって艦上の構造物が新しいものに交換され、艦橋が縮小されるなどの改造が施されました。また、前檣は三脚檣に変更され、前方には25mm機銃台が設置されました。

1944年5月4日には、工事の完了を受けて速力試験を行いましたが、その際、曳船「鷹丸」との衝突事故が発生しました。「鷹丸」は「興津」に近づきすぎて沈没し、乗組員の中には「興津」のカッターによって救助された7名のうち、船長ら3名が行方不明となりました。

その後、「興津」は上海を出港し、様々な任務に従事しました。5月中には哨戒任務や船団護衛任務を経て、6月以降も多くの任務を遂行しました。特に、江南造船所で改修を受けながら、船団護衛活動を行うことが多く、10月には佐世保に戻りましたが、艦艇の類別が変更され、砲艦から普通艦艇に移行しました。10月9日に上海に着港した後も、中国沿岸での護衛任務を続けました。

1945年には艦長に肱岡虎次郎少佐が就任しましたが、その鹿児島弁には通訳が必要とされました。興津は連合軍の艦船を護衛し、4月27日に佐世保に到着。その後、さらなる装備の改善が行われ、5月以降も護衛任務を継続しました。また、7月17日には対空戦闘で敵戦闘機を撃墜する成果も上げています。

戦後

終戦を迎えた後、「興津」は中華民国に接収され、「咸寧」と名付けられました。1945年9月30日には日本海軍の艦籍から除籍されましたが、当時の混乱により、実際にはしばらくの間、日本艦籍に位置しながらも国府の管理下に置かれるという矛盾が生じました。咸寧は1950年に米軍式装備に改造され、1956年には除籍されることとなりました。

艦長たち

「興津」は日本海軍の一員として歴史を刻み、多くの任務を実行した艦艇として知られています。

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