船山1号墳 (豊川市)

船山1号墳（ふなやまいちごうふん）

愛知県豊川市八幡町にある船山1号墳は、東三河地方で最大の規模を誇る前方後円墳であり、古墳時代中期、すなわち5世紀後半に築造されたと推定されています。この古墳は豊川市の史跡に指定されており、重要な文化財として位置付けられています。

概要

船山1号墳は、西古瀬川と音羽川の間の洪積台地に築かれた大型の古墳で、墳丘は3段構造となっています。墳丘の長さは約95メートルに及び、この地方では最大の古墳とされています。また、墳形は前方後円形をしており、墳丘の主軸は東西方向に設定され、前方部は西側に向いています。古墳の表面からは円筒埴輪や葺石などの遺物が発見されており、周囲には周濠が巡らされています。

発掘調査により、墳丘のくびれ部分には左右に造出があり、特に南側の造出では食物供献儀礼に関連する遺物が発見されています。埋葬施設はまだ明らかではないものの、過去の調査でいくつかの鉄製品が出土しています。さらに、墳丘の北側には陪塚とされる舟山2号墳も存在しましたが、現在は存在していません。

この古墳の被葬者に関しては、古代の記録に見える人物、即ち雄略朝に仕官した菟上足尼が関与している可能性が指摘されています。また、墳丘の形成や出土品からは、ヤマト王権との繋がりが示唆されています。特に、古墳の突如としての大規模な築造は、畿内文化の影響を物語るものと考えられています。

歴史

船山1号墳の評価は高く、1965年に豊川市によって指定史跡に指定され、多くの発掘調査が行われてきました。特に、古墳の盛土手法に関する調査が行われ、当時の土木技術や建設工程が解明されつつあります。

調査の一環として、墳丘の盛土は黒色系と黄褐色系の二種類の土を使用し、表土積換工法と称される技術が見られます。具体的には、地面の表層を掘削し、ブロック状に形成された土を用いる手法です。築造工程も詳細に記録されており、段階的に土を盛る方法が採用されています。この築造技術は、当時の畿内地方の影響を受けていると考えられています。

出土品と陪塚

船山1号墳では、1945年の防空壕掘削時に鉄刀や鉄鉾、鉄鏃といった多様な鉄製品が出土しました。このことから、古墳の重要性がうかがえます。また、陪塚として推定される船山2号墳は存在感を持っていましたが、1964年の調査後に失われてしまいました。

アクセスと現地情報

船山1号墳は、愛知県豊川市八幡町上宿に位置しています。交通は名鉄名古屋本線・豊川線の国府駅から徒歩約5分でアクセスでき、周辺には三河国府跡や国分寺跡などがあり、歴史を感じることができるスポットとなっています。

このように船山1号墳は、豊かな歴史と文化を今に伝える貴重な遺跡であり、訪れる人々に多くの学びを提供しています。

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