船形山神社

船形山神社について

船形山神社（ふながたやまじんじゃ）は、宮城県黒川郡大和町吉田に位置する歴史ある神社です。この神社は、宮城県神社庁に「舩形山神社」として登録されていますが、別名として「船形山権現社」や「升沢権現」とも呼ばれています。旧社格は村社で、船形山の山麓に位置し、山を遥拝する神社としての役割を担っています。ただし、船形山の山頂にも「船形山御所神社」という別の祠が存在しますので、注意が必要です。また、古文書『旧神祠記』では当神社は式内「行神社」とされているものの、その根拠は不明です。

祭神と御神体

船形山神社の主祭神は保食神です。この神は船形山がもたらす恵みの象徴とされています。また、祭神には他に十二神将と大黒天も祀られています。特に注目すべきは、御神体として高さ15cmの金銅菩薩立像が存在することです。この像は普段は秘密の場所に埋められており、毎年5月1日の例祭の際にのみ掘り出されて開帳されます。この菩薩立像は北魏時代の様式を有しており、朝鮮半島から日本に渡来したものと推定されています。その具体的な経緯については謎に包まれています。

歴史

船形山神社の創建時期は不明ですが、一説では反正天皇の時代にさかのぼるとされています。この神社は船形山を遥拝する目的で設立されたと考えられています。江戸時代になると、仙台藩からの寄進を受け、勅願寺として真言宗飯峰山信楽寺が別当寺として機能していました。神社は仙台藩内で雨乞いの祈祷を行う十ヶ所の一つとなっていました。

祭祀と地域文化

船形山神社では、毎年5月1日に大燓天祭が行われています。この日は特別な日であり、船形山内の秘密の洞窟から金銅菩薩立像を運び出し、祝詞を奏上した後に開帳されます。開帳時の御神体の湿り具合から、その年の天候を予測できるとされます。また、開帳の際には社殿に奉納されていた梵天が参拝者の中に投げ入れられ、熾烈な奪い合いが繰り広げられます。この行事は「船形山神社の梵天ばやい」として宮城県の無形民俗文化財に指定されています。

社殿の構造

社殿は流造の本殿、拝殿、薬師堂、鳥居から構成されています。また、御神体の銅造菩薩立像は非常に貴重で、1979年に日本彫刻史研究者の久野健によって調査が行われました。この像は細部にわたり独特の特徴を持ち、主に朝鮮半島から伝わった可能性を示唆しています。

アクセス

船形山神社へのアクセスは、大和町役場がある吉岡地区から車で約20km西方に位置しています。宮城県道147号を船形山方面に向かい、旗坂キャンプ場の近くから林道を利用してアクセスできます。

周辺の見所

神社の近くには美しい船形山がそびえており、陸上自衛隊の王城寺原演習場や風早峠の水など、自然と歴史を楽しむことができます。

船形山神社は、地域の信仰や文化が色濃く残る場所であり、訪れる人々に独自の歴史と魅力を提供しています。

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