船津衛

船津衛：日本の社会学を牽引した巨匠

船津衛氏は、1940年東京都生まれの著名な社会学者です。博士号（社会学）を取得し、社会学理論、社会的自我論、そしてコミュニケーション論を主な研究分野として、日本の社会学界に多大な貢献を果たしました。

学究の道と薫陶

東北大学大学院文学研究科博士課程において、単位取得満期退学。在学中は、卒業論文で社会意識論、修士論文で準拠集団論を研究テーマとして選びました。その後、山口大学、大阪市立大学、東北大学、東京大学と、日本の名門大学で教鞭を執り、その学術的な地位を確立しました。特に、日本を代表する社会学者である新明正道氏の薫陶を受けた経験は、氏の研究人生において大きな転換点となったと言えるでしょう。

シンボリック相互作用論研究の第一人者

船津氏は、我が国におけるシンボリック相互作用論研究の第一人者として広く知られています。この学問分野における独自の視点と深い洞察力は、多くの研究者たちに影響を与え、その門下からは土肥豊氏、伊藤勇氏、徳川直人氏、山尾貴則氏、桑原司氏、小川祐喜子氏、寺田征也氏など、数多くの著名な社会学者が輩出しています。

多岐にわたる研究活動と豊かな著作

船津氏の研究活動は多岐にわたっており、その成果は数多くの著書、共編著、そして翻訳書に結実しています。代表的な著書として、『シンボリック相互作用論』（恒星社厚生閣、1976年）、『自我の社会理論』（恒星社厚生閣、1983年）、『ミード自我論の研究』（恒星社厚生閣、1989年）などがあり、いずれも社会学の基礎的概念を深く掘り下げ、独自の視点から考察した名著として高く評価されています。

さらに、コミュニケーション論に関する著書も多数執筆されており、『コミュニケーション・入門－－心の中からインターネットまで』（有斐閣、1996年）、『コミュニケーション・入門：改訂版』（有斐閣、2010年）などは、現代社会におけるコミュニケーションのあり方を多角的に分析した重要な著作となっています。

そのほかにも、『地域情報と地域メディア』（恒星社厚生閣、1994年）、『アメリカ社会学の展開』（恒星社厚生閣、1999年）、『自我の社会学』（放送大学教育振興会、2005年）、『社会的自我論』（放送大学教育振興会、2008年）、『自分とは何か』（恒星社厚生閣、2012年）、『社会的自我論の現代的展開』（東信堂、2012年）など、幅広いテーマを扱った著作を数多く発表し、常に社会学研究の最前線に立ち続けてきました。

共編著においても、『社会心理学の展開』（北樹出版、1987年）、『社会学の展開』（1989年）、『現代社会論の展開』（北樹出版、1992年）、『シンボリック相互作用論の世界』（恒星社厚生閣、1995年）、『G・H・ミードの世界』（恒星社厚生閣、1997年）など、多くの共著を執筆し、研究仲間との協働を通して、社会学の更なる発展に貢献しました。

翻訳活動においても、A.R.リンドスミス著『社会心理学』（恒星社厚生閣、1981年）や、G.H.ミード著『社会的自我』（恒星社厚生閣、1991年）など、重要な社会学関連文献の翻訳を通して、日本の社会学研究の裾野を広げる役割を果たしました。

結論

船津衛氏は、長年にわたる研究活動と教育活動を通して、日本の社会学の発展に多大な貢献を果たした、まさに社会学界の巨匠と言えるでしょう。その業績は、今後の社会学研究にとっても貴重な財産となることは間違いありません。

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