船渡御

船渡御（ふなとぎょ）とは

船渡御とは、祭礼などの神事の一つで、神体や神霊を船に乗せて川や海を渡る儀式のことです。渡御の一種であり、広義には、その船を送迎する神事も含まれます。

一般的には、神霊が宿った神輿を船に乗せて行われることが多いです。船渡御は、様々な理由で行われます。

船渡御が行われる理由

禊（みそぎ）：神事の前に、心身を清めるために水上を渡る。
海や川にまつわる神の渡御：住吉大神など、海や川を司る神様が、その領域を巡幸する。
氏子地域に島がある場合：海を渡った島も氏子地域である場合や、その島に御旅所がある場合、船で渡御が行われる。
河川との関わりの深い地域：神輿の巡幸に水運が用いられた場合、船渡御が行われる。


船渡御は、地域によって様々な形で行われ、その土地の歴史や文化を色濃く反映しています。

各地の船渡御の例

大阪天満宮（大阪府大阪市）

大阪天満宮では、日本三大祭の一つである天神祭において、船渡御が行われます。毎年7月、神霊を乗せた御鳳輦奉安船を中心に、お囃子をする船や供奉船などが連なり、天神橋のたもとから大川を遡上し、その後、反転して下るという壮大なものです。

住吉神社（東京都中央区）

東京都中央区にある住吉神社では、3年に1度の例大祭において、船渡御が行われます。古来、神輿を担いだまま海に入る「海中渡御」を再現したもので、かつては佃の渡しから海に入っていましたが、海中汚染の影響で一時中断。1990年に復活し、2005年には鎮座360年を記念して東京湾上で海上祭も行われました。

宗像大社（福岡県宗像市）

宗像大社では、秋の例大祭の最初に「みあれ祭」という海上渡御が行われます。約200隻もの船団が宗像大島から七浦を巡り、宗像の港へパレードする様子は圧巻です。宗像三女神を祀る総社として、その壮大さが際立ちます。

関連事項

* ホーランエンヤ：松江市で行われる、豊作や大漁を祈願する祭りであり、船団を仕立てて行われることから、船渡御と関連付けて語られることもあります。

船渡御は、日本の伝統文化を代表する神事の一つであり、それぞれの地域の特色を反映した多様な形で行われています。その歴史や背景を知ることで、より深くその魅力を理解することができるでしょう。

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