艦本式タービン

艦本式タービンについて

艦本式タービン（かんほんしきタービン）は、日本海軍艦政本部によって開発された蒸気タービンの一種であり、艦艇用タービンとして初めて純国産化が実現した重要な機器です。日本海軍は、これまで蒸気レシプロ機関を主に使用していましたが、後に蒸気タービン機関がその性能の優位性から主流となりました。

開発の背景

以前使用されていた蒸気レシプロ機関に対し、蒸気タービンはパワーウェイトレシオや熱効率、そして信頼性において優れた特性を持っていました。そのため、日本海軍は模倣品を含む多くの海外メーカー製のタービンを導入していたものの、戦時中における補修部品の安定供給には懸念があり、国産化の必要性が高まっていました。これを受け、艦政本部と関連企業は協力して国産の艦本式タービンの開発に着手しました。

艦本式タービン導入までの沿革

艦本式タービンの導入までにはいくつかの重要なステップがありました。1908年、三菱合資会社の長崎造船所で初めて反動タービンを搭載した通報艦「最上」が竣工しました。その後、いくつかの艦艇に輸入されたさまざまなタービンが搭載されました。1916年には、佐世保海軍工廠で桃型駆逐艦「桃」に艦本式直結タービンが搭載され、これが完全な国産タービンの成功を示しました。

続いて、1919年には樅型駆逐艦の量産が開始され、八八艦隊計画に基づく艦艇の大量建造に向けて、各種タービンが試行されました。1920年には軽巡洋艦「球磨」が竣工し、その際に技本式オールギアードタービンが搭載されました。このタービンはアメリカからの技術をもとにしたものであり、減速機の導入が目指されました。

1924年には、藤永田造船所にて駆逐艦「朝凪」が艦本式タービンを搭載した第一号艦として竣工し、これにより艦本式タービンは海軍艦艇の主力機関として普及していきました。このタービンの最大出力は1セットで4万馬力に達し、高出力かつ高い信頼性を誇りました。

その他の情報

艦本式タービンによる開発と製造の経験は、後に発電用タービンの開発にも生かされ、技術革新に寄与しました。このように艦本式タービンは、国産化成功の象徴であるだけでなく、日本海軍の艦艇にとって欠かせない重要な要素でした。

艦本式タービンは、艦本式ボイラーとも関連があり、これらの部品の互換性や信頼性も重要視されていました。艦本式タービンの導入は、日本の艦艇技術の自主的な発展に寄与し、海軍の運用能力の向上を助ける結果となりました。

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