良移心当流

良移心當流和

良移心當流和（りょういしんとうりゅうやわら）は、福野七郎右衛門正勝（諱は友善）が創始した日本の武道です。流祖に関する詳しい伝記は残されていませんが、彼は大坂出身で、近江の京極家の家臣としての背景を持っていたようです。早い段階から、柳生石舟斎宗厳や但馬守宗矩から柳生新陰流兵法を学び、その奥義を習得しました。1622年（元和8年）に良移心當流和術の流派を興し、その内容は「常により良いものを移す心」で表され、状況に応じた剛柔や陰陽を使い分けることが勝利に繋がると説かれています。

この流派の考え方は「外柔内剛」に基づき、性質は柔らかく水のように、また柳の枝のようなしなやかさを持つことが理想とされています。そのため、技法もあらゆる状況に適応できる柔軟性を重視しています。

系譜

良移心當流は、特に久留米藩や黒田藩で学ばれていました。久留米藩ではしばしば「良移心頭流」と表記されており、この流派は黒田藩の久保貞治の弟子によって伝えられたとされています。正徳年間（1711～1716年）には、森八郎右衛門が久留米藩に仕官することで流派が広まったとされています。

下坂流の良移心當流は警視流拳法に取り入れられ、下坂與三太夫の弟子たちには、下坂専右衛門、下坂剛之進、野田録郎、妹尾季之進、宇高權太夫、中村半助、上原省吾などがいました。1859年4月、下坂五郎兵衛門の弟子たちが天神真楊流と試合を行った記録も残っています。

この流れの中で、森八郎右衛門や嶋田丹右衛門、下坂才蔵、下坂與三太夫といった重要な人物が登場し、彼らは福野流の教えを受け継ぎ、さらなる発展を促しました。特に黒田藩の久保貞次からは、藤田麓憲貞を通じて自剛天真流として分派し、独自の発展を遂げた系統も存在します。

伝承内容

良移心當流和術では、五ツ心持之大事と呼ばれる教えが重要視されており、内容には「押籠必角見」「天地児而賛」「身右嵐盛勝」といった基本原則が含まれています。また、「空・風・火・水・地」をテーマにした五つの要素が技法に反映され、その複雑さは武道の奥深さを表しています。特に「摩・詰・衝・推」といった技法は、その運用において高い柔軟性と適応力を要求されます。

結論

良移心當流和は、常に変化する状況に対処するための技法と心構えを教える武道であり、その教えは現代の武道や自己防衛技術にも通じています。流派の発展に尽くした先人たちの努力は、今日でも多くの武道家に影響を与え続けています。

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