色部長実

色部 長実（いろべ ながざね）の生涯と業績

色部長実は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将であり、上杉氏の家臣として名を馳せました。本記事では、彼の生涯、業績、逸話について詳しくご紹介します。

生い立ちと家族背景

長実は天文22年（1553年）、越後国の有力武士・色部勝長の子として生まれました。父が亡くなると、長実は兄の顕長が家督を継ぐことになりましたが、兄は病弱であったため、6年後の天正4年（1576年）には兄が隠居し、長実が家名を継ぐことになります。こうして色部家の当主となった長実は、上杉謙信に仕官して活躍の場を広げました。

上杉謙信への仕官とその後

長実は上杉謙信のもとで武将としてのキャリアを積み、天正6年（1578年）には謙信の死後、彼が起こした御館の乱で上杉景勝を支援します。長実は体制が揺らぐ中、義理の兄である新発田重家との深い関係を背景に、重家対策を任されることとなります。この際、重家の妹と長実が結婚しているため、家族間の結束が重要な役割を果たしました。

天正16年（1588年）には、上杉景勝の上洛に随行し、直江兼続と共に豊臣秀吉から豊臣姓を受け贈られます。長実はその後も秀吉の命令に従って活躍し、天正18年（1590年）には仙北一揆の鎮圧に貢献しました。

後半生と遺言

天正20年（1592年）に朝鮮出兵が始まると、長実は景勝に従い名護屋城に赴きますが、病にかかり帰国を余儀なくされます。京の伏見で療養していた長実は、自身の死が近いことを悟ると、遺言状を残します。この中で、彼は直江兼続に色部家の後を託し、次女を自身の子である光長の妻に迎えてほしいと願うなど、長実の兼続への信頼が窺えます。最終的に彼は1593年9月10日（旧暦8月17日）に亡くなり、享年は40歳でした。

人物像と逸話

色部長実は、豊臣秀吉から「北国路、まれに見る武将」と称賛された人物です。その学識も深く、小笠原貞慶の門下で様々な技術を学び、軍法や作法だけでなく、薬剤の製造法など多岐にわたる知識を持っていました。

長実は新発田重家の乱後、義兄の重家を長松寺に埋葬し、供養に尽力しました。また、仙北一揆の処理に際しては、人質の家族を解放するために自身が腹を切る覚悟を決め、その結果、土地民の信頼を得ることに成功します。このような行動から、彼の道徳感や信義を重んじる姿勢が明確に表れています。

更に、長実が出羽に赴いた際、道に迷ったところを雉子に助けられたエピソードも有名です。この出来事をきっかけに、雉子は色部家中で大切にされ、小さな寺院には関連する奉納の絵が今でも残されています。長実の生涯は、忠義と知識に満ちた武将として記憶されています。

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