芋沢

芋沢地区：仙台市青葉区の地域紹介

はじめに

宮城県仙台市青葉区に位置する芋沢地区は、広瀬川と芋沢川の流域に広がる地域です。古くは農村地帯でしたが、仙台市の発展に伴い、東部を中心に住宅地が開発され、現在の人口を形成しています。この記事では、芋沢地区の歴史、地理、産業、交通、教育、宗教といった様々な側面から、この地域の魅力と特徴を詳細に解説します。

地理

芋沢地区は、愛子盆地の北部に位置し、三方を山に囲まれた地形です。広瀬川が南側を流れ、芋沢川が地区の中央を貫いています。河岸段丘が発達しており、地区内にはみやぎ台、赤坂、高野原、向田などの住宅地があります。しかし、これらの住宅地はそれぞれ住居表示が施行され、別の町丁となっています。

主な山として権現森（314.1m）があり、川としては広瀬川、芋沢川、大倉川、赤坂川、蒲沢川（銅谷原川）、大栗沢川、竜沢、塩沢川などがあります。

住宅団地の形成

20世紀前半までは、集落が散在する田園風景が広がっていましたが、20世紀後半から仙台の郊外住宅地として開発が進みました。みやぎ台ニュータウン、赤坂ニュータウン、ガーデンタウン高野原、向田住宅団地などが造成され、仙台市への通勤者を中心に人口が増加しました。現在では、住宅地の住民が人口の大部分を占めますが、面積の多くは田畑や山林が占めており、農村景観も残されています。

一方、吉成地区はほぼ全域が住宅地として開発され、仙台市街地と一体化しています。耕地はほとんど残っておらず、現在では芋沢地区とは別個の地域と捉えるのが適切でしょう。

歴史

戦国時代には国分氏の支配下にありました。江戸時代には仙台藩の国分郷に属し、1889年の町村制施行時には大倉村と合併して大沢村となり、町役場は芋沢に置かれました。1913年から大倉川の水を利用した仙台市への水力発電と水道供給の事業が始まり、1919年には大堀発電所、1923年には中原浄水所が完成しました。

戦後には、引揚げ者を中心に開拓が進み、1950年代からは中規模工場も進出しました。1955年には大沢村が合併して宮城村となり、1963年には町制施行で宮城町となりました。1987年には仙台市に合併され、政令指定都市移行後には青葉区に編入されました。

1960年代以降は、東部の人口が増加、西部の人口が減少する傾向が見られました。これは、仙台への通勤者向けの住宅団地開発が大きく影響しています。特に吉成地区は、急速に住宅地化が進みました。

年表

1874年（明治7年）：大区小区制の下で第2大区第1小区に属す
1876年（明治9年）：宮城県管内区画変更により第14小区に属す
1889年（明治22年）：町村制施行により大倉村と合併し大沢村となる
1955年（昭和30年）：大沢村が広瀬村と合併し宮城村となる
1963年（昭和38年）：宮城村が町制施行により宮城町となる
1975年（昭和50年）：みやぎ台住宅団地造成
1987年（昭和62年）：宮城町が仙台市に編入
1989年（平成元年）：仙台市に青葉区が置かれ、芋沢地区が青葉区に属す

人口

旧芋沢村域の人口は、1995年には芋沢地区11,767人、吉成地区11,999人、2000年には芋沢地区3,236世帯11,883人、吉成地区4,690世帯14,360人でした。

産業

農業では水田、畑作、酪農が営まれてきました。江戸時代から明治時代初期にかけては、薪炭の生産が盛んで、山林資源が重要な産業でした。戦時中から戦後にかけては亜炭の採掘も行われていましたが、1960年代後半までに閉山しました。

1950年代半ばからは中規模工場が進出し、現在も点在しています。三徳化学工業、白松がモナカ、福装商事宮城工場、芳賀火工などが主な企業です。また、鳴合温泉などの観光資源も存在しました。

交通

古くから仙台との交通が重要でした。権現森の北を通る道と、広瀬川沿いの道の2つのルートがありました。現在は、国道457号、宮城県道55号定義仙台線、宮城県道37号仙台北環状線が主要な道路となっています。東北自動車道も近接していますが、芋沢地区にインターチェンジはありません。

教育

小学校として大沢小学校、川前小学校、旧吉成小学校（現在は閉校）、南吉成小学校などがあります。中学校は、大沢中学校（現在は地区外）、旧吉成中学校、南吉成中学校などがあります。

宗教

多くの寺院と神社が存在します。寺院では、長泉寺、常念寺、正法寺、徳源寺、臨済院、寿命院などが有名です。神社では、宇那禰神社、大国神社（大和神宮）、大堀神社、雷神社、熊野神社、日月神社などが存在します。

参考文献

古文書を読む会『仙台藩の正保・元禄・天保郷帳』（宮城県図書館資料7）、1987年
仙台市史編纂委員会『仙台市史』第9巻（資料篇2）、仙台市役所、1953年
仙台市「宮城町誌」改訂編纂委員会『宮城町誌』本編（改訂版）、1988年
仙台市「宮城町誌」改訂編纂委員会『宮城町誌』続編、1989年
仙台市「宮城町誌」改訂編纂委員会『宮城町誌』史料編（改訂版）、1989年
仙台市企画局情報政策部情報企画課・編『町名別人口統計資料　平成12年国勢調査結果』、仙台市、2002年
* 仙台都市研究機構『広瀬川ハンドブック』（改訂版）、2001年

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