芝辻一郎

芝辻一郎

芝辻一郎（しばつじ いちろう、1883年6月6日 - 1962年1月12日）は、日本の内務官僚であり、山梨県知事、川崎市長、沼津市長を歴任しました。地方行政に深く関わり、それぞれの地域でその手腕を発揮しました。

生い立ちと学歴

芝辻一郎は、1883年（明治16年）に千葉県安房郡北条町長須賀（現在の館山市長須賀）で、旧龍野藩士である芝辻勝の長男として生まれました。彼は、北条町尋常高等小学校、千葉中学校、第一高等学校と進学し、1910年7月に東京帝国大学法科大学政治学科を卒業しました。この学歴は、彼が後の行政官としてのキャリアを築く上で重要な基盤となりました。

内務官僚としてのキャリア

大学卒業後の1910年9月、芝辻は内務省に入省し、東京府属としてキャリアをスタートさせました。1911年11月には文官高等試験行政科試験に合格し、官僚としての地位を確立しました。その後、神奈川県理事官、同県三浦郡長、同愛甲郡長、福島県北会津郡長、同県伊達郡長、富山県事務官・学務部長、愛媛県警察部長、宮崎県書記官・内務部長、三重県書記官・内務部長など、地方行政の要職を歴任しました。これらの経験は、彼の行政官としての能力を磨き、後の知事や市長としての活躍につながりました。

山梨県知事時代

1931年12月、芝辻は山梨県知事に就任しました。知事として、不況対策に取り組み、甲府市水道事業の拡張など、県民生活の向上に尽力しました。しかし、1932年6月28日に知事を休職し、1933年8月14日に依願免本官となり、退官しました。

川崎市長時代

1935年9月14日、芝辻は川崎市長に就任しました。市長として、戦時体制の強化政策を推進し、都市の基盤整備に努めました。1939年9月13日に任期満了で退任しました。

沼津市長時代

1943年1月16日、芝辻は沼津市長に就任しました。戦時下の困難な状況下で、駿東郡片浜村、金岡村、大岡村、静浦村との合併を実現し、市域の拡大を図りました。また、戦時下の増産体制の整備や、戦災からの復興にも尽力しました。しかし、戦災対策の処理の遅れを理由に沼津市会から辞職勧告を受け、1945年10月11日に市長を退任しました。その後、公職追放の対象となりました。

退任後

芝辻は、沼津市長退任後に公職追放となりましたが、その後の詳細は不明です。しかし、彼の地方行政における貢献は、日本の近代史において重要な記録として残っています。

まとめ

芝辻一郎は、内務官僚として、山梨県知事、川崎市長、沼津市長を歴任し、それぞれの地域で行政手腕を発揮しました。特に戦時下の困難な時期に、都市の発展や復興に尽力した人物として知られています。彼の地方行政における経験と貢献は、日本の地方自治の歴史において重要な足跡を残しています。

参考資料

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
歴代知事編纂会編『日本の歴代市長』第1巻、歴代知事編纂会、1983年。
歴代知事編纂会編『日本の歴代市長』第2巻、歴代知事編纂会、1984年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
『山梨百科事典』増補改訂版、山梨日日新聞社、1989年。
人事興信所編『人事興信録』第8版、1928年。
* 総理庁官房監査課編『公職追放に関する覚書該当者名簿』日比谷政経会、1949年。

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