芦屋市民のうた

芦屋市民のうたについて

『芦屋市民のうた』は、兵庫県芦屋市が1949年に制定した市民歌です。この曲は戦後の復興をテーマにし、市民の団結を促す意図がありました。作詞には本間一咲、補作には富田砕花、作曲には大澤壽人が携わりました。表記は「芦屋市民の歌」とされることもありますが、ここでは公式に用いられている「市民のうた」と表記します。

制作の背景

1948年、芦屋市は市民を結束させるための歌詞を一般公募しました。この歌詞の選考には、兵庫県文化賞を受賞した富田砕花らが審査委員として参加しました。応募の結果、東京都の小学校教員である本間一咲が入選しました。市からの依頼を受けて、大澤壽人が作曲を手がけ、1949年2月19日には芦屋仏教会館にて発表音楽会が行われました。

市の広報誌『広報あしや』の創刊号には、8月20日にこの歌の歌詞が掲載され、同時期に市民音頭「芦屋音頭」の歌詞も募集されました。それぞれの曲はSP盤として録音され、タイヘイレコードによって製造されました。

歌の内容

『芦屋市民のうた』は全3番からなり、歌詞には市内を貫く国道2号線や芦屋浜の海の音、そして当時の大阪湾で一般的だった漁火の風景が描かれています。しかしながら、市制50周年を迎えた1990年の記念イベントを最後に、市主催の行事でこの歌が演奏されることはなくなりました。市はこの曲の市民歌としての地位を否定し、公式の告示を行わない意向を市議会で表明しています。その理由として、歌詞に描かれた情景が現状と隔たっていることが挙げられます。

著作権と関連曲

『芦屋市民のうた』の旋律は2003年に著作権が切れ、現在は自由に利用できる状況です。芦屋市に関係する楽曲としては、フォークソンググループ「紙ふうせん」の後藤悦治郎が1998年に寄贈した「このまちが好き」という市民愛唱歌もあります。この曲はあしや市民活動センターで楽譜が配布されています。

現在の取り組み

2013年9月29日には、「芦屋っ子コンサート実行委員会」によって『芦屋市民のうた』の復活演奏が行われました。さらに、市の公式サイトでは、2023年11月20日よりこの歌の歌詞と楽譜が紹介されるページが設けられました。市のサイトに載せられた楽譜は1991年に発行された記念事業報告書を元にしたもので、基本的には単旋律ですが、1950年と1953年に発行された市勢要覧には伴奏付きの楽譜が掲載されています。

参考文献

• - 芦屋市議会 会議録検索
• - 芦屋市役所秘書課弘報係 編『芦屋市勢要覧』
• - 昭和25年版、昭和28年版
• - 『市制施行50周年記念事業記録報告書』（芦屋市役所、1991年）

『芦屋市民のうた』は、地元の人々に愛され、地域の団結を象徴する曲として位置づけられてきました。しかし、その運命は市の意向により変わっていくことになりました。今後、この曲がどのように復興されていくのか、注目が集まります。

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