芦浜原子力発電所

芦浜原子力発電所計画の経緯

芦浜原子力発電所は中部電力が三重県の南島町と紀勢町に建設を計画していた発電所です。この計画は1963年に公表され、翌年に芦浜地区が候補地として選定されましたが、地元住民の強い反対の声に直面しました。

計画の開始と反対運動の高まり

1966年、地元の漁業関係者が衆議院の視察を阻止する「長島事件」が発生し、計画の進行を大いに妨げました。これにより、当時の三重県知事は計画を棚上げせざるを得なくなりました。すると、1975年には紀勢町町長選挙において原発推進派の候補が当選しましたが、彼は多額の寄付金を受けるなどの問題を抱え、結局辞職。これにより、地元での信頼感はさらに揺らぎました。

その後、1977年には国が芦浜地区を要対策重要電源に指定し、1984年には三重県が原発関連の予算計上を開始。原発建設に向けた動きが加速しました。1994年には漁協が調査の受け入れに同意したものの、対応は不統一でした。

県民のそして漁協の反対

1996年には、南島町の住民が81万人以上の反対署名を集め、知事に提出しました。この反応を受けて、1997年には三重県議会が立地予定地からの社員引き上げを求める請願を採択し、中部電力は数年間の冷却期間に入ります。

計画の白紙撤回

2000年2月22日、三重県知事が「計画の推進は困難」とし、白紙撤回の方針を示しました。彼は、計画が長年にわたり地元の人々を苦しめてきたことを指摘し、周囲の支持が乏しくなっていることも理由の一つとして挙げました。この時期、県民の53%、南島町民の86%が原発建設に反対の意向を示していました。

これに対し中部電力は原発建設を強く希望していましたが、知事の発言により計画を再考することになりました。

経済的背景と地域社会の分断

知事は、原発の賛否によって地域社会が分断される状況を心痛めていたと述べ、電力需要の減少も計画中止の背後にあったと言います。国は原発を増設する計画を持っていましたが、1999年の事故や芦浜の計画見直しがその方針に暗い影を落としました。

結論

芦浜原子力発電所計画は、最終的に様々な要因によって断念されました。地元住民の強い反対意見や不正問題、そして経済的なプレッシャーが重なり、計画は長い年月の後に白紙なりました。これにより、地域社会は一つの大きな決断を乗り越え、今後の展開を見据えていくこととなります。

この経緯は、今後のエネルギー政策においても重要な教訓となり、市民の声を反映させる必要性を改めて浮き彫りにしています。

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