花 (瀧廉太郎)

花 (はな)

「花」は、明治時代に作曲家・瀧廉太郎によって作曲された歌曲で、1900年（明治33年）に歌曲集『四季』の第1曲として発表されました。元々は「花盛り」というタイトルでしたが、組曲としての統一感を出すために「花」と改められました。この曲は、瀧廉太郎の代表作の一つとして、「荒城の月」や「箱根八里」と並び、広く知られています。

作詞は武島羽衣が担当しました。楽曲は二部形式で、軽快なテンポで演奏されます。歌詞には、当時の隅田川で盛んだったボートレースの様子や、春の隅田川の美しい情景が描かれています。演奏形態としては、ピアノ伴奏付きの女声二部合唱、女声二重唱、混声二部合唱、混声二重唱などが一般的です。3番まで歌詞がある有節歌曲形式ですが、単純な繰り返しではなく、部分的に旋律に変化が加えられています。イ長調、4分の2拍子で、速度記号はAllegro moderatoです。

歌曲集『四季』について

「花」が収録されている歌曲集『四季』は、全4曲から構成されています。第2曲は「納涼」（作詞：東くめ）、第3曲は「月」（作詞：瀧廉太郎自身）、第4曲は「雪」（作詞：中村秋香）となっています。しかし、「花」以外の曲はあまり知られておらず、演奏される機会も多くありません。ただし、三善晃が編曲した「日本の四季」には、全4曲が収録されています。

瀧廉太郎は、『四季』の初版の序文で、「当時の日本の歌曲は、教育用の学校唱歌が多く、質の高いものが少ないため、日本語の歌詞に作曲した曲を世に出すことで、日本歌曲の発展に貢献したい」という趣旨を述べています。

歌詞と著作権

2017年12月31日に著作権の保護期間が満了し、現在では自由に利用できるようになっています。

1番の歌詞は、源氏物語「胡蝶」の巻に登場する和歌「春の日のうららにさして行く船は棹のしづくも花ぞちりける」に由来しています。また、3番の歌詞は、蘇軾の詩「春夜」の一節「春宵一刻値千金」から着想を得ています。

さまざまな場所での利用

「花」は、さまざまな場所やイベントで利用されています。

国技館5000人の第九コンサート: イベントのエンディング曲として、毎年歌われています。両国国技館の近くを隅田川が流れていることが理由です。
ライオンスペシャル '85春・ファッション!歌う国技館: かつてフジテレビで放送された番組のオープニングテーマとして使用されました。
みんなのうた: NHKの番組で、1962年4月に放送されました。編曲は宮川泰、歌はザ・ピーナッツが担当し、映像は木馬座制作の影絵でした。
駅の車内チャイム: 上野駅、伊賀神戸駅、浅草駅、豊後竹田駅など、多くの駅で発車メロディや車内チャイムとして使用されています。
落語: 二代目林家木久蔵の出囃子として使用されています。
アニメ: テレビアニメ「めぞん一刻」の劇中で、合唱が聞こえる場面があります。


このように、「花」は、発表から100年以上経った現在でも、多くの人々に愛され、さまざまな形で親しまれています。

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